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千葉医学 71 (3) :185-259, 1995

講座
台所の生化学:その3:食品、飲科中のアルミニウムとカルシウム
 三浦義彰 斉田直美 橋本洋子
 
原著
トルコにおける過去12年間の炎症性腸疾患220例の臨床経過、合併症、外科治療および予後に関する検討
 Hasan OEZKAN, Ahmet ERTEN, Neguz SUEMER,A.Kadir DOEKMECI,Ali OEZDEN,Nihat SIPAHI,Erol KESIM,Necati 0ERMECI,Kadir BAHAR,Selim KARAYALCIN,Ali Resit BEYLER and 0ezden UZUNALIMOGLU

超音波カラードプラ法による肝細胞癌の腫瘍血流の研究
  黒沢俊介 松谷正一 吉川正治 江原正明

ホジキン病の治療成績:千葉悪性リンパ腫検討会の共同研究の結果
  高木敏之 三方淳男

髄小脳変性症の眼球運動障害:178例における統計学的検討
  高谷美成 服部孝道 中島雅士 福武敏夫 新井公人 小島重幸 平山恵造

児門脈圧亢進症息児の自家脾部分移植片の生着動態を脾シンチグラフィでfollowし得た1例
  江東孝夫 真家雅彦 村松俊範 岡田忠雄 明妻人夫

海外だより
シンシナティ小児病院Pediatric Intensive Careより
 植田育也

学会
第889画千棄医学会例会,第一外科教室談話会
第895回千葉医学会例会,第27回麻酔科例会,第54回千棄麻酔懇話会
第888回千葉医学会例会,第11回千棄精神科集談会
第6回千葉県小児成長障害研究会
第59回千棄県腎疾患懇話会,第60回千葉県腎疾患懇話会
第61回千秦県腎疾患懇話会
千葉大学泌尿器科第1回同門会発表

編集後記

 
   
  台所の生化学:その3:食品、飲科中のアルミニウムとカルシウム
三浦義彰 斉田直美1) 橋本洋子2) 千葉大学名誉教授 1)佐々木研究所附属杏雲堂医院 2)フリー管理栄養士


 アルミニウムがアルツハイマー病の原因であろうという説が1980年頃から報告されたが,その後一時は確証がないとされ否定的意見が多かった。しかし最近再び飲料水中のアルミニウム含量と痴呆との関係が間題になってきている。一方,先進国で激増している忽粗鬆症に関連して我が国民のカルシウム摂取量は現在推奨されている1日600mgでよいのであろうか。高カルシウム食が尿路結石の原因となるというのは今日否定されているから,女性には1日800〜1200mgに増量すべきではなかろうか。    
 
   
  トルコにおける過去12年間の炎症性腸疾患220例の臨床経過、合併症、外科治療および予後に関する検討
asan OEZKAN, Ahmet ERTEN, Neguz SUEMER,A.Kadir DOEKMECI,Ali OEZDEN,Nihat SIPAHI,Erol KESIM,Necati 0ERMECI,Kadir BAHAR,Selim KARAYALCIN,Ali Resit BEYLER and 0ezden UZUNALIMOGLU
アランカ大学(トルコ)消化器科


1981年から1992年までにアンカラ大学附属病院(トルコ)にて経験された炎症性腸疾患220例の臨床経過,合併症,外科治療および予後について検討した。疾患の内訳は潰瘍性大腸炎166例,クローン病54例で,発症時の平均年齢は潰瘍性大腸炎で35.8±3.7歳,クローン病で36.2±2.7歳であった。潰瘍性大腸炎の半数以上(53.6%)は左側結腸型であった。合併症は全結腸型で最も多く認められた。急性電撃型は4.2%にみられ,また原発性硬化性胆管炎は3例で認められた。薬物治療にて効果のなかった14.4%に外科的治療を行った。そのうち結腸全摘出術が必要となったのは4例のみであった。大腸癌の合併は1例もなかった。経過観察中7例は合併症が原因で死亡した。クローン病では病変が回盲部に限局した症例が25.9%と最も多かった。外科的切除は33.3%の症例で行われ,そのうち27.7%は2回以上の切除術が施行された。大腸癌の合併は1例もなかった。4例は経過観察中合併症にて死亡した。以上より,トルコにおける炎症性腸疾患の平均年齢,関節症状,原発性硬化性胆菅炎の頻度および臨床経過は欧米あるいは目本の報告と異なることが明らかとなった。
 
   
  超音波カラードプラ法による肝細胞癌の腫瘍血流の研究
黒沢俊介 松谷正一 吉川正治 江原正明  千葉大学医学部内科学第一講座


肝細胞癌における腫瘍血流の成り立ちを検討する目的で,超音波カラードプラ法による血流信号について,Bモード超音波像および血管造影所見との対比を行った。74病巣中,4l病巣(55.4%)から血流信号が検出された。腫瘍径が大きい病巣および体表からの距離が近い病巣ほど,血流信号検山率が高かった。腫瘍径10mm以下の病巣からは血流信号は検出されず,腫瘍径40mmを超える病変からは全例血流信号が検出された。41病巣中,拍動性血流信号は25病巣(61.0%),定常性血流信号は6病巣(14.6%),拍動性血流信号と定常性血流信号の両方を検出した病巣は10病巣(24.4%)であり,拍動性血流信号が高頻度であった。Bモード超音波像との対比において,血流信号検出は腫瘍内部のエコーパターンと関連を認めず,特に高エコーの腫瘍内部からは血流信号は検出されなかった。一方,血流信号は腫瘍内部よりも,辺縁低エコー帯や隔壁から高頻度に検出された。また,血管造影所見との対比において,血流信号は動脈相ないしは毛細管相でみられる腫瘍血管と,有意の関係を認めた。肝細胞癌におけるカラードプラによる血流信号は,腫瘍の周囲被膜部および腫瘍内部の隔壁部の動脈性血流に由来するものであり,肝細胞癌の腫瘍血流を評価する上で,垂要な所見と考えられた。
 
   
  ホジキン病の治療成績:千葉悪性リンパ腫検討会の共同研究の結果
高木敏之 三方淳男1)  千葉県がんセンター血液化学療法科 1)千葉大学医学部病理学第一講座(悪性リンパ腫検討会代表幹事)


千葉悪性リンパ腫検討会に登録された未治療ホジキン病22例に対して治療研究を行った。治療法の骨子は(1)若年者の病期I‐Hで巨大縦隔腫瘤のない症例には,放射線単独で治療する,(2)巨大縦隔腫瘤のある病期I-IIの症例には,CHOP療法6コース後にinvo1ved‐fieldに30Gyの放射線照射を追加する,(3)病III-IV症例にはCHOP/EPVP交替療法を行う。病期IIIAではCHOPとEPVPを各3コース合計6コース,病期IIIB-Ivでは各5コース合計l0コースを行う。結果は,病期I-IIの12例ではCR率と生存率はともにl00%,病期III-IVのl0例ではそれぞれ90%と80%であった。本研究の治療プロトコールでは,CHOP/EPVP療法の効果により病期III-IVの治療成績は良好であったが,病期I-IIで巨大縦隔腫瘤を有する症例の再発率が高かった。巨大縦隔腫瘤を有する症例の無再発生存率を向上させるためには,初回治療から強力な多剤併用療法が必要であり,初回完全寛解中に白家造血幹細胞移植を用いた大量化学療法も考慮すべきである。
 
   
  脊髄小脳変性症の眼球運動障害:178例における統計学的検討
高谷美成 服部孝道 中島雅士 福武敏夫 新井公人 小島重幸 平山恵造  千葉大学医学部神経内科学講座


脊髄小脳変性症には種々の眼球運動障害が観察されるが,その病型と眼球通動障害の種類について総合的に多数例で検討した報告は乏しい。脊髄小脳変性症の各病型における眼球運動障害の特徴を明らかにすることを目的とし,178例の患者について検討した。対象症例を厚生省診断基準に拠りl0病型,4群に分類した。眼球運動障害は6項目につき臨床観察と,必要に応じ電気眼振計を用いて評価し,頻度を求めた。衝動性追従眼球運動は各病型に共通して高頻度に認められたが,その他の眼球運動障害は群によって頻度の差が認められた。非遺伝性多系統群(オリーブ橋小脳萎縮症,Shy‐Drager症候群,線条体黒質変性症)は,遺伝性多系統群(Menzel型遺伝性運動失調症,歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症,Machado‐Joseph病)および小脳主体群(晩発性小脳皮質萎縮症,Holmes型遺伝性運動失調症)に比べて,眼球運動測定異帯,注視誘発眼振の出現頻度が低かった。群内の比較では,線条体黒質変性症で眼球運動麻痺の出現頻度が高かった。遺伝性多系統群は,非遺伝性多系統群および小脳主体群に比べて,緩徐眼球運動,眼球運動麻痺の出現頻度が高く,視運動性眼振異常の出現頻度が低かった。群内の比較では有意差を認めなかった。小脳主体群は,緩徐眼球運動,視運動性眼振異常,眼球運動麻痺の頻度は非遣伝性多系統群に近く,眼球運動測定異常,注視誘発眼振の頻度は遺伝性多系統群に近かった。群内の比較では有意差を認めなかった。以上より,脊髄小脳変性症の各病型は,病型群ごとにそれぞれ特徴ある眼球運動障害のパターンを有しているものと考えられた。
 
   
  小児門脈圧亢進症息児の自家脾部分移植片の生着動態を脾シンチグラフィでfollowし得た1例
江東孝夫 真家雅彦 村松俊範 岡田忠雄 明妻人夫1)  千葉県こども病院外科 1)同・放射線科


2歳男児の門脈圧亢進症(以下門亢症)に対し,食道胃血行郭清兼脾摘術,自家脾移植術を施行し,術後,移植した脾臓の部分移植片の生着を99mTcスズコロイドによる脾シンチグラフィでfollowした。すなわち,移植脾臓片は術後2週では描出されず,術後8週にようやく描出され,15週目には移植片4個のうち2個が生着し,経過観察し得た術後20週目まで生着していると思われた。また,術後20週目までの肝脾シンチグラフィにおける肝左葉に対する脾へのRIの集積率をみると移植片の描出が15週目に6.76%とピークになっており,99mTcスズコロイドによる脾シンチグラフィが脾臓の部分移植片の生着の可否,およびその動態を確かめる手段として極めて有用な画像検索法であると思われた。
 
   
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