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千葉医学雑誌

千葉医学雑誌一覧
 
千葉医学 71(5-6):331-385, 1995

総説
末期がん患者の呼吸困難
 西野 卓
 
原著
千葉大学附属病院産科婦人科におけ帝王切開の変遷
 松井英雄 江口 修 西脇哲二 関谷宗英

気管支上皮増生に及ぼす葉酸の影響
 宮原英樹 林 豊 大和田英美 河野俊彦 福間誠吾

話題
As Guest Professor at the Department of Anatomy of the Chiba University
  Adolf Friedrich Holstein

らいぶらりい
Motor Neuron Disease: Biology and Management
 服部孝道

海外だより
バンクーバー総合病院
 中島雅士

学会
第910回千葉医学会例会,第二内科例会
第913回千葉医学会例会,第28回麻酔科例会,第56回千葉麻酔懇話会
第915回千葉医学会例会.第12回千葉精神科集談会

雑報
第72回千葉医学会総会記事

編集後記

 
   
  末期がん患者の呼吸困難
西野 卓  千葉大学医学部麻酔科学講座


末期がん息者にみられる強い呼吸困難は患者にとって痛みに匹敵するほどの悲惨さをもたらすが,その緩和についての研究や緩和策は極めて限られている。呼吸困難感は最近では痛みと同様に感覚として取り扱うことが提唱されており,呼吸困難感発生には呼吸系の感覚受容器からの求心性入力と呼吸中枢の出力(motor command)を逆行性に感知するメカニズムが重要であるという認識が得られるようになった。すなわち,呼吸困難感は呼吸系への負荷に対する呼吸調節系の反応の過程で生まれてくる感党という認識である。末期がん患者の呼吸困難に対しては原因となる病態を理解し,個々の病態に対応した方法を施行することである。しかし,がんの場合,呼吸町難の原因となる病態を治療することは難しく,呼吸調節系を理解した症状コントロールが最終目的になることも多い。
 
   
  千葉大学附属病院産科婦人科におけ帝王切開の変遷
松井英雄 江口 修 西脇哲二 関谷宗英  千葉大学医学部産科婦人科学講座


本邦における帝王切開率(以下帝切率)は諸外国に比較して低い方に属し,新生児死亡卒,周産期死亡率も世界的に低率であるが.本邦における帝切率は種々の要因により上昇傾向にあることが知られている。今回当科における帝切率の変遷,適応の変化を検討し.以下の結呆を得た。 1.総分娩数は出生率の低下に伴い減少しているが,帝切頻度は年々上昇傾向にあり,15年間でほぼ2倍となった。 2.帝切時の妊娠週数分布では36週以前の早産児の占める割合が増加し,30週未満の超未熟児の頻度も増加傾向にある。 3.帝切の適応では胎位異常,内科疾患などの母体合併症,重症妊娠中毒症など産科合併症例が増加している。 4.胎位異常ことに骨盤位の分娩様式については一定した見解はなく,当科でも帝切率が増加している。 以上のように当科における帝切率,帝切適応の変遷について検討したが.帝切率は増加傾向を示し,36週以前の帝切例も増加している。今後未熟児関連施設の拡充が産科を取り扱う上で必要である。
 
   
  気管支上皮増生に及ぼす葉酸の影響
宮原英樹 林 豊 大和田英美 河野俊彦1) 福間誠吾2)  千葉大学医学部附属肺癌研究施設病理研究部門
 1)国際武道大学解剖学教室 2)千葉県がんセンター


本研究は,メチルコラントレン(MCA)投与が与えるラット気道上皮の変化に対する葉酸の影響について明らかにする目的で4週令SD系雄ラット135匹を用いて行った。7週令のラットにMCA10mgを経気道的に投与し,32週後に屠殺して気道上皮の変化を観察したところ,主に気管支上皮の増生がみられた。MCA処置群はその56%に気管支上皮の増生をみ,増生した細胞には異型性を伴っていたが,MCAで処置し4週令より毎週,葉酸を投与していた群は31.6%にのみ増生がみられ,上皮細胞の異型性も乏しかった。これに対し,MCA処置後,20週目から毎週,葉酸を投与した群では増生を示した動物の割合は,MCA処置群とほぼ同様であった。また,MCAで処置し4週令より葉酸欠乏食で飼育した群は66.7%に増生がみられ,上皮細胞の異型性も高度であった。これにより,気管支上皮の増生の抑制に関して,葉酸が治療的にではなく,予防的に働いていることがボ唆された。また,葉酸欠乏状態による癌化の促進が推測された。
 
   
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