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千葉医学雑誌一覧 |
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千葉医学 73
(4) :201-257, 1997
■特集:アレルギー性疾患
気管支喘息(成人)
福田 健
小児気管支喘息
西牟田敏之
鼻アレルギーの冶療:外科的治療を中心に
寺田修久 浜野ナナ子 山越隆行 藤田洋祐 今野昭義
アトピー性皮膚炎の病態と治療
田辺恵美子
食物アレルギーの病態と冶療
河野陽一 小島博之 沼田朋子 冨板美奈子 新美仁男
■らいぶらりい
パストゥ一ル 世紀を超えた生命科学への洞察
野田公俊
■学会
第936回千葉医学会例会、第17回歯科口腔外科例会
第946回千葉医学会例会、第30回麻酔科例会、第58回千葉麻酔懇話会
第949回千葉医学会例会、第19回千葉大学第三内科懇話会
■編集後記
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●アトピー性皮膚炎の病態と治療
田辺恵美子 東邦大学医学部附属佐倉病院皮膚科
従来、アトピー性皮膚炎の病態としてIgEを介するアレルギー反応が強調されて来たが、最近その非アレルギー的側面が改めて指摘されてきている。アトピー性皮膚炎の場合、ドライスキンであるため角層のバリア機能が障害されており、慢性の皮膚の炎症が起こりやすいと考えられている。また、最近のアトピー性皮膚炎治療に関する最大の問題は成人の顔面の難治性紅斑である。長期間のステロイド剤外用の影響も関与が深いとされるが、一方で、むやみな脱ステロイド治療により、アトピー性白内障、網膜剥離などを来す例もある。ステロイド外用剤、保湿剤も含めた軟膏療法およびスキンケアの基本について述べた。
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●食物アレルギーの病態と冶療
河野陽一 小島博之 沼田朋子 冨板美奈子 新美仁男 千葉大学医学部小児科学講座
食物アレルギーは、食物により引き起こされる生体に傷害性の反応であり、中毒症などと異なり免疫学的な機序によるものをいう。その原因となるアレルゲンが食物という日常において欠くことのできないものであることから、社会的にも注目されている疾患である。食物アレルギーの臨床症状は多彩であり、消化器、皮膚、呼吸器、神経などの多くの臓器が傷害される。食物アレルギーの診断法としては確立されたものはなく、診断は詳細な問診、臨床症状、検査所見などを総合して行う。免疫学的検査として、血清総IgEや抗原特異的IgE抗体の測定、皮膚試験などを行うが、これらの検査は診断において補助的なものでしかない。現在のところ食物アレルギーの確定診断は、in vivo の検査である食物除去試験と食物誘発試験により行われている。治療としては、原因となる食物を摂取しない除去食療法が墓本であるが、過度の除去食寮法は栄養障害、摂食障害を引き起こすので適切な栄養指導が必要である。食物アレルギーの多くは5歳頃までに寛解し、原因食物の摂取が可能となるが、一部の症例はダニなどの吸入アレルゲンが原因となる気管支喘息に移行する。
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