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千葉医学雑誌

千葉医学雑誌一覧
 
千葉医学 74 (6) :323-415, 1997

展望
NeurogenesisとSpematogenesisの接点
 湯浅茂樹
 
原著
卒前臨床教育の変革に関する検討 (第一報)臨床入門実習の導入と学生・教官の意識調査
 高林克日己 岩本逸夫 斎藤 康
 
ネットワーク時代の画像参照システム :イントラネットの応用とDICOMに準拠した新しいPACS
 唐沢英偉 山田明義 高崎 健 林 直諒 中平雄水 

症例
肉腫への分化を伴う肝細胞癌と胃癌の同時性重複癌の1切除例
 山崎将人 渡辺義二 唐司則之 佐藤裕俊 窪沢 仁

小児頬部に発生した良性線維性組織球腫の1例
 熱田藤雄 渡辺俊英 宮内健晋 永嶋昌之 宮 恒男 成川芳明 横江秀隆 丹沢秀樹

大腸重複症が併存した胆管非拡張型の膵胆管合流異常症
 島田英昭 尾崎正彦 有我隆光 大島郁也 丸山尚嗣 木下弘寿 竹田明彦 吉村清司 関 秀一 岸 幹夫 河村俊治

下顎皮質骨除去術により冶癒した症侯性三叉神経痛の1例
 高橋喜久雄 荒木大介 吉野智春 青木洋大

研究報告書
平成8年度猪鼻奨学会研究補助金による研究報告書

学会
第942回千葉医学会例会、第31回肺癌研究施設例会
第944回千葉医学会例会、第1外科教室談話会
第951回千葉医学会例会、第1内科教室同門会例会
第952回千葉医学会例会、第4回千葉泌尿器科同門会学術集会

雑報
第25回日本医学会総会プレシンポジウムについて
第73回千葉医学会総会記事

編集後記

 
   
  卒前臨床教育の変革に関する検討(第一報)臨床入門実習の導入と学生・教官の意識調査
高林克日己 岩本逸夫 斎藤 康  千葉大学医学部内科学第二講座


従来本学では行なわれていなかった臨床入門を本年度から導入するにあたり、予備的実習を行なった。実習に対する学生および指導教官の意識を検討する目的で、4年次第二内科臨床講義の一部を模擬患者の医療面接と理学所見の取り方の実習にあて、学生・指導教官双方の意見をまとめた。その結果、学生のアンケート(105名;回収率87%)では、理学所見の取り方では関心度、有用度は80%以上で、医療面接実習は、91%越え、ともに回数としては3〜5回とする意見が多かった。実習と講義の比率については、実習を全体の1/3以上とする意見が過半数を越えた。一方理学所見実習の教官側のアンケート(10名)では学生の知識・技能の低さを訴え、学習効果はあるとしたものの、指導はやや大変と答えたものが過半数であった。また指導マニュアルの作成など実習前の準備は要求するが、自ら指導に積極的な関心があるわけではなかった。教官側も実習数は増加すべきとするものが70%を占めたが、時間数は週1コマと答えたものが半数であった。本学の新カリキュラムに伴い、平成9年度から実習を重視する教育形態への転換を図り、4年次に行なう臨床入門実習は週1回計30時間を予定している。この方向性は学生、教官ともに是認しているが、学生側に積極性が見られるのに対し、教官側は新しい教育法について十分な知識、関心がなく、今後教官側に対する意識改革が必要であると考えられた。
 
   
  ネットワーク時代の画像参照システム :イントラネットの応用とDICOMに準拠した新しいPACS
唐沢英偉1) 山田明義1) 高崎 健2) 林 直諒3) 中平雄水4)  1)東京女子医科大学消化器病センター放射線科 2) 同・外科 3)同・内科 4)イメージ・アンド・メジャーメント


DICOMネットワークにCD−ROM changerを加えてINTRANETの技術を応用した簡便な画像管理システムを構築した。構成は、Helical CTとDICOM 画像サーパー(UNIX)、CD−ROM changer(100枚)およびクライアント(Macintosh)がDICOMネットワークに接続されている。Helical CT(Toshiba X−vigor)から出力される一日の全検査画像情報はDICOM 画像サーパーに圧縮(1/10)し保存する。その後、自動的にCDに保存する。各クライアントはWWWブラウザ(Netscape)を活用して画像サ-パ-に問い合わせ、検査のリストを参照する。目的とする参照画像を選択すると画像表示ソフトが起動された。画像とDICOM 属性情報(患者情報、検査情報)の詳細な画像観察が行えた。本システムの特長は、画像通信の国際共通規格であるDICOM3.0 を採用している。画像観察には低コストのインターネット用のブラウザを活用している。汎用性もあり操作が簡便である。今後予定される、院内の高度医療情報システムヘの発展性があると考える。
 
   
  肉腫への分化を伴う肝細胞癌と胃癌の同時性重複癌の1切除例
山崎将人1) 渡辺義二1) 唐司則之1) 佐藤裕俊1) 2)窪沢 仁 1)船橋市立医療センター外科 2)千葉大学医学部病理学第二講座


症例は51歳男性。右上腹部痛、腹部圧迫感を主訴として来院した。画像診断では肝右葉から腎にいたる径15 cm 大の一部石灰化を伴う嚢胞性腫瘍をみとめた。吸引細胞診では、悪性所見は得られなかった。上部消化管検査にて胃体部小弯に陥凹性病変を認め、生検にて管状腺癌の診断であった。以上より胃癌及び腎浸潤を伴う肝腫瘍の診断にて、平成5年5月20日手術を施行した。腹水肝硬変はなく、肝右棄から右腎にかけ小児頭大の腫瘍を認め、結腸と右腎に直接浸潤していた。手術は肝右葉切除、右腎摘出、胆嚢摘出、右半結腸切除、胃全摘術を施行した。病理組織学的に胃の体部小弯に7.5 x 5.0 cm 大のUc様病変があり中分化型腺癌であった。肝は出血壊死による嚢胞を伴う白色充実性の腫瘍で、大部分は異型な紡錘形細胞により占拠され平滑筋肉腫様であったが、腎浸潤部の一部に典型的な中分化型肝細胞癌をわずかに認めた。紡錘形細胞と肝細胞癌の間に明らかな移行像は認められなかった。紡錘形細胞部での免疫組織染色ではEMA(一)、ケラチン(一)、アクチン(十)、ビメンチン(一)、S−100蛋白(一)で、肉腫への分化を伴う肝細胞癌と診断した。術後経過は良好にて退院したが、同年11月7日肝転移、大動脈周囲リンパ節転移、両肺転移のため死亡した。文献によると、初診時より肉腫への分化が優位である肝癌はまれで、早期に様々な転移をきたし良後不良な疾患であった。
 
   
  小児頬部に発生した良性線維性組織球腫の1例
熱田藤雄 渡辺俊英 宮内健晋 永嶋昌之 宮 恒男 成川芳明 横江秀隆 丹沢秀樹  千葉大学医学部歯科口腔外科学講座座


1歳11ヶ月男児の右側頬部に発生した良性線維性組織球腫と考えられる1例を経験した。口腔領域での発生はまれで、自験例を含む12症例中では女性に多く、1歳代の発症は2例であるが、特別な好発年齢はない。口腔各部位に発生し、頬部は3例であった。症例は、初診5日前に家族が右頬部腫瘤に気付き、紹介にて当科を受診した。可動性、弾性硬、直径約20mmの球形腫瘤を頬部粘膜下に触れた。CT像で境界明瞭、均一で筋組織と同等の電子密度の腫瘤を認めた。多形性腺腫の臨床診断で口腔内から摘出した。摘出物は薄い被膜を有し、割面は淡黄色、充実性であった。病理組織学的に線維芽細胞様細胞、組織球様細胞、泡沫細胞を認めた。病理組織学的所見と臨床所見とを併せ考え、良性線維性組織球腫と診断した。良性と診断された中にも再発例があるが本症例は再発なく経過良好である。
 
   
  大腸重複症が併存した胆管非拡張型の膵胆管合流異常症
島田英昭1) 尾崎正彦1) 有我隆光1) 大島郁也1) 丸山尚嗣1) 木下弘寿1) 竹田明彦1) 吉村清司1) 関 秀一2) 岸 幹夫2) 河村俊治3)  1)横浜労災病院外科 2) 同・消化器科 3)同・病理部


74歳。血清CA19-9が高値を示したため精査目的で来院した。CT検査では、肝嚢胞性腫瘍と胆嚢壁の肥厚を認めた。ERCP検査にて、膵管胆管は、15mmの共通管を有し、総胆管の径は9mmであった。胆管非拡張型の膵胆管合流異常症と診断した。術前の全身検索で、横行結腸の重複を認め、大腸内視鏡検査では、横行結腸と回腸との交通を認めた。胆嚢摘出術及び肝腫瘍切除術を施行した。胆嚢内胆汁中のアミラーゼ値は109922IU/Lであった。病理学的所見では、胆嚢粘膜に高度の異型を認めたが、悪性所見は認めなかった。
 
   
  下顎皮質骨除去術により冶癒した症侯性三叉神経痛の1例
高橋喜久雄1) 荒木大介1) 吉野智春1) 青木洋大2) 1)社会保険船橋中央病院歯科口腔外科 2)かいのはな歯科医院


下顎骨々髄炎に続発した症侯性三叉神経痛に対して、皮質骨除去による神経減圧術を行い良好な結果を得た症例を報告する。患者は39歳男性で左側下顎部の激痛を主訴に来院した。原因と考えられた左下第一大臼歯残根の抜歯と消炎処置を行い、その後カルパマゼビンの投与および星状神経節ブロックを施行したが疼痛制御は困難であった。下歯槽管周囲に限局した骨髄炎による下歯槽神経の圧迫を疑い、左下顎骨の頬側皮質骨を、硬組織切削用超音波メスを用いて開窓し、下歯槽神経を露出させフリーにした。術翌日より疼痛は消失し、その後は再発もなく経過良好である。
 
   
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