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千葉医学 77 (2) :67-111, 2001

原著
造影CTにて評価した胸部下行大動脈壁厚の経時的変化
 横山健一 高須準一郎 山本里恵 田口理恵 伊谷寧崇 伊藤雄一 渡辺 滋 増田善昭
 
急性期再灌流療法を施行した急性心筋梗塞症例におけるI-123 BMIPP, Tc-99m MIBI, TI-201 SPECT 定量所見と慢性期左心機能との対比造影
 佐野剛一 西村重敬 加藤健一 太田淑子 氷見寿治 増田善昭

心筋の FDG 取り込みに対する生理的条件での遊離脂肪酸の影響 : 梗塞心筋の健常心筋と異なる反応
 山内雅人

らいぶらりい
はじめての生化学
 鈴木信夫
  
学会
第1004回千葉医学会例会・第 7 回千葉泌尿器科同門会学術集会
第1023回千葉医学会例会・第 8 回千葉泌尿器科同門会学術集会

編集後記

 
   
  造影CTにて評価した胸部下行大動脈壁厚の経時的変化
横山健一 高須準一郎 山本里恵 田口理恵 伊谷寧崇 伊藤雄一 渡辺 滋 増田善昭
千葉大学医学部内科学第三講座


 非侵襲的検査である造影 CT で大動脈壁の経時的変化を観察し、 CTが動脈壁厚進展の定量的検査として有用であるか否かを検討した。 当院で造影 CT を一定期間経て 2 回以上施行された113例に対し、 初回 CT および最終 CT それぞれにおける下行大動脈壁容積 (AWV)(cm3)を計測し、 両者より求めた壁容積進展速度ΔAWV (cm3)/年) と観察開始時及び終了時それぞれにおける動脈硬化危険因子、 服用薬剤因子の関係を解析した。 単変量解析ではΔAWV と観察開始時の各種因子とは相関せず、 観察終了時の TC、 LDL、 LDL /HDL に相関が認められた。その 3 因子に対する多変量解析では LDL/HDL のみ有意であった。 ΔAWV と服用薬剤因子との相関は認めなかった。 壁厚非進展群 (ΔAWV≦ 0 ) 15例と壁厚進展群98例では前者の TC、 LDL は後者に比べ有意に低値であった。 更に対象を TC、 LDL の値によるカットオフ値で 2 群に分け壁厚進展の有無に対する Odds 比を計算したところ、最も有意な Odds 比であったカットオフ値は TC190mg/dl、 LDL 130mg/dlであった。 結論として、 大動脈壁厚の進展には LDL の増加のみでなく HDL の低下も影響が強いこと、 薬剤の服用の有無よりも脂質因子の絶対値の改善が進展の抑制ないし退縮に影響していること、 また、 進展の抑制にはTC190mg/dl以下、 LDL 130mg/dl以下である必要があることが考えられた。 造影 CT は動脈壁厚進展の定量的検査として有用であると考えられた。
 
   
  急性期再灌流療法を施行した急性心筋梗塞症例におけるI-123 BMIPP, Tc-99m MIBI, TI-201 SPECT 定量所見と慢性期左心機能との対比造影
佐野剛一 西村重敬1) 加藤健一1) 太田淑子2) 氷見寿治  増田善昭3)
君津中央病院循環器科  横浜労災病院1)循環器科・2)放射線科  3)千葉大学医学部内科学第三講座


 心筋梗塞患者における慢性期左心機能の評価は予後を検討する上で重要である。今回再潅流療法を施行した急性心筋梗塞患者において、亜急性期に施行したI-123 BMIPP、Tl-201、Tc-99m MIBI SPECT検査のうちどの核種が最も慢性期左心機能の予測に有用かを定量的に検討した。急性心筋梗塞21例(平均62才)に対し亜急性期(平均15病日)に順不同にI-123 BMIPP、Tl-201、Tc-99m MIBI SPECT検査を施行し、各polar mapを作製した。各polar mapをそれぞれのnormal data bankと比較し、−2sd以下を示した領域をhypoperfused areaとして%defectを算出、心筋梗塞発症4カ月後の左室造影より得られた駆出率と比較した。I-123 BMIPPの初期像、Tl-201の初期像、後期像、Tc-99m MIBIの初期像の%defectはそれぞれ43±17%、33±21%、35±13%、36±17%であった。心筋梗塞発症4カ月後の駆出率との相関は、I-123 BMIPP初期像が最も強く(相関係数r=−0.77、P=0.0003)、次いでTl-201早期像(r=−0.69、P=0.002)、Tl-201後期像(r=−0.65、P=0.005)、Tc-99m MIBI早期像(r=−0.67、P=0.004)の順であった。上記3種核種中、再潅流療法を施行した急性心筋梗塞症例において慢性期左心機能の予測にはI-123 BMIPP SPECT検査が最も有用であった。
 
   
  心筋の FDG 取り込みに対する生理的条件での遊離脂肪酸の影響 : 梗塞心筋の健常心筋と異なる反応
山内雅人 千葉大学医学部内科学第三講座


 FDG-PET は、非侵襲的な心疾患の評価法として有用性が認められているが、 代謝状態の影響が大きく、 特に空腹時において集積の不安定性が問題点となっている。 近年、 FDG-PET を用いて、 健常心筋で糖の取り込みと血中遊離脂肪酸濃度の負の相関関係があることが示された。 梗塞症例についてはこのような関係は証明されていない。陳旧性心筋梗塞症例の梗塞部と正常部の代謝の特徴を評価する目的で、 糖負荷時と空腹時に FDG-PET を施行した。 空腹時の糖負荷時と比較した遊離脂肪酸の増加に対する糖取り込みの抑制 (ΔMGU/ΔFFA) は、 健常例では1.19±0.36 であったが、 健常部位は0.81±0.48と健常例との有意差は認めなかったのに対して、 梗塞部は0.28±0 .37と明らかに低下していた。 空腹時の心筋 FDG-PET 画像の多様性の原因は血中遊離脂肪酸濃度の変化が大きく、 それに基づきおもに健常心筋での糖取り込みが大きく変化する為と考えられた。
 
   
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