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千葉医学雑誌


千葉医学雑誌一覧
  千葉医学 83 (1) :1-39, 2007 
原著
既習者と非既習者の意思決定過程における前頭部近赤外スペクトル解析
 佐藤文子 下山一郎 渋川祥子(英文・PDF/HTML
症例
仙骨ピンでコントロールし得た仙骨前面多量出血の1例
 西村真樹 幸田圭史 小田健司 清家和裕 清水公雄 福富 聡 杉原毅彦 吉留博之 宮崎 勝 (英文・PDF/HTML)
話題
国際臨床神経学会Brazier Awardを受賞して
 三澤園子(和文・PDF
学会
第1119回千葉医学会例会・細胞治療学講座例会・第二内科同門会総会 (和文・PDF
第1131回千葉医学会例会・第11回環境生命医学研究会 (和文・PDF
雑報
新しいアイデアが求められている時代 −個人で出来ること,組織で出来ること−
 関根郁夫 (和文・PDF
編集後記 (和文・PDF

 
   
  既習者と非既習者の意思決定過程における前頭部近赤外スペクトル解析
佐藤文子1) 下山一郎2) 渋川祥子3)
1) 千葉大学教育学部,2) 千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター
3) 聖徳大学人文学部


 本研究の目的は,前頭葉の血流の変化を解析することによって,調理学習履修者と未履修者間の意思決定能力形成の差を追究することである。脳機能の活性化は,近赤外線スペクトロスコピー法を用いて計測した。被験者は,家庭科専攻で調理学習を履修した学生3名,家庭科専攻以外の学生5名である。刺激課題は液晶プロジェクターから投射し,質問文と絵を1画面に納めた30問作成して専攻課題と対照課題を交互に30秒ごとに提示した。刺激課題は出来るだけ早く意思決定して回答してもらい,決定出来ない場合には無理に回答しないように要求した。記録終了直後に刺激課題と同じ描画を1枚ずつ見せて頭の中で回答したことを正確に再現し自己申告記録してもらった。この結果,調理学習既習者は,非既習者に比して,前頭葉における酸素化ヘモグロビンの活性化がみられ,意思決定能力の形成が認められた。

 
   
  仙骨ピンでコントロールし得た仙骨前面多量出血の1例
西村真樹 幸田圭史 小田健司 清家和裕 清水公雄 福富 聡 杉原毅彦 吉留博之 宮崎 勝
千葉大学大学院医学研究院臓器制御外科学


 症例は亀背の顕著な86歳女性。平成16年1月より腹痛,嘔吐出現。近医にて腸閉塞と診断され,入院後精査にてRasに半周性の2型腫瘍を認め,直腸癌の診断にて2月18日当科転院となった。術前精査で遠隔転移なし。3月15日手術施行。腫瘍は後腹膜と子宮へ癒着し可動性不良であった。TMEの層で直腸背側の剥離を進め,腫瘍の後腹膜への癒着部を剥離した際,仙骨前面静脈叢より大量の噴出性出血を生じた。腫瘍が大きく亀背のため骨盤内の視野が取れず,出血点の同定が困難であったため,まずガーゼパッキングを行った。占拠する腫瘍の切除をしないと出血点の同定は不可能と考え,後面は出血点近傍をガーゼで抑えながら可及的に剥離を進め,高位前方切除を施行した。出血部を検索したところ,S2からS4の怒張した仙骨前面静脈叢に複数の裂創を認めた。亀背と狭骨盤の症例であり,腹側から仙骨前面の視野が取りづらく止血操作は困難であった。仙骨ピンでの止血を試みるが院内に在庫なく,急遽製造元に手配を行った。その間術式をMiles手術に変更し会陰側から止血操作を試みたが止血には至らなかった。再び腹側へ移り仙骨ピンを合計7本使用し止血が可能となった。既に大量出血と大量輸血による出血傾向のため骨盤側面からの出血も認めたが,これらは腹側会陰側からの縫合結紮により止血可能であった。仙骨前面にタココンブ貼付し,会陰部開放創からガーゼパッキング施行後,人工肛門を造設し終刀した。術中出血量は9365gであった。術後人工呼吸管理を行い,第3病日に全身麻酔下にガーゼを除去した。骨盤内は完全に止血されており後出血も認めず,第14病日に退院となった。
 
   
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