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千葉医学 83
(4) :123-171, 2007
■最終講義
医学の進歩・大学の貢献 ― パートU 臓器移植・21世紀COEプログラム ―
落合武徳(和文・PDF)
■総説
B型肝炎ウイルスの変異と病態
横須賀 收 稲田麻里 (和文・PDF)
■症例
上顎小臼歯部に発生した腺様歯原性腫瘍の1例
椎葉正史 小河原克訓 村野彰行 木下瑠香 河崎謙士
小野可苗 武川寛樹 横江秀隆 鵜澤一弘 丹沢秀樹 (和文・PDF)
腸閉鎖を合併した腹壁破裂の2治験例
八幡江里子 吉田英生 松永正訓 幸地克憲 黒田浩明
菱木知郎 齋藤 武 山田慎一 照井慶太 大沼直躬 (英文・PDF/HTML)
■海外だより
シンガポール日本人会クリニックに勤務して
日暮浩実 (和文・PDF)
■学会
第1132回千葉医学会例会・臓器制御外科学教室談話会 (和文・PDF)
第1145回千葉医学会例会・第6回呼吸器内科例会(第20回呼吸器内科同門会)(和文・PDF)
第1148回千葉医学会例会・第40回麻酔科例会・第68回千葉麻酔懇話会 (和文・PDF)
■編集後記 (和文・PDF)
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●上顎小臼歯部に発生した腺様歯原性腫瘍の1例
椎葉正史1), 小河原克訓1), 村野彰行2), 木下瑠香2), 河崎謙士2), 小野可苗2), 武川寛樹2) , 横江秀隆2), 鵜澤一弘1), 丹沢秀樹1, 2)
1)千葉大学大学院医学研究院臨床分子生物学講座 2)千葉大学医学部附属病院歯科・顎・口腔外科
腺様歯原性腫瘍(adenomatoid odontogenic tumor: AOT)は多くが顎骨内に発生するまれな歯原性腫瘍である。10〜20歳代の若年者の前歯部,特に犬歯部に頻発し,無痛性で緩慢に発育して顎骨膨隆をきたす。埋伏歯を伴い含歯性嚢胞状を呈することも多く,含歯性嚢胞,エナメル上皮腫,石灰化歯原性嚢胞などの類似疾患との鑑別が困難なことがあるとされている。今回われわれは比較的稀な上顎小臼歯部に発生した腺様歯原性腫瘍に対し,外科的に摘出して良好な結果を得たので報告する。症例は16歳,男性で右側上顎第2小臼歯の動揺を主訴に当科を受診し精査したところ,右側上顎骨内に皮質骨の明瞭な境界を有する類球形の拇指頭大の病巣を認めた。病巣は未萌出の右側第1小臼歯の歯冠を含むとともに小石灰化物の点在がみられた。外科的摘出の適応と考え,埋伏歯牙と腫瘍本体を一塊として摘出した。病理組織検査では腫瘍実質に富み間質に乏しく,くわえて腺管様構造や高円柱状細胞が2列に向き合って配列した花冠状構造もみられ腺様歯原性腫瘍と診断された。
術後は再発もなく,術前にみられた臨在歯の歯根離開と動揺も改善して健全な口腔機能を回復しており,経過良好である。
(無断転載を禁ず:千葉医学会)
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●腸閉鎖を合併した腹壁破裂の2治験例
八幡江里子, 吉田英生, 松永正訓, 幸地克憲, 黒田浩明, 菱木知郎, 齋藤 武, 山田慎一, 照井慶太, 大沼直躬
千葉大学大学院医学研究院小児外科学
腸閉鎖を合併した腹壁破裂の治療にはしばしば難渋する。我々は腸閉鎖を合併した腹壁破裂2例を経験し,効果的な治療を行うことが出来たので報告する。出生時,2例とも脱出腸管が多く,腸管の浮腫が著明であったことから,一期的腹壁閉鎖は不可能であった。腸閉鎖に対しては,浮腫著明な腸管を一期的に切除吻合することは出来ず,また人工肛門造設も出来ない状況であった。症例1は空腸閉鎖を合併していた。まずは腹壁破裂に対して,サイロを用いた多段階腹壁閉鎖術を選択した。同時に空腸閉鎖に対しては経鼻胃管チューブを用いて口側腸管の減圧を図った。サイロを徐々に縫縮し,日齢6に脱出腸管を全て腹腔内に還納することが出来た。そして日齢9に,空腸閉鎖に対する根治術を問題なく施行することが出来た。症例2は結腸閉鎖と,盲腸穿孔を合併していた。症例2でも腹壁破裂に対して,まずサイロを造設した。結腸閉鎖・盲腸穿孔に対しては,穿孔部にドレーナージチューブを挿入して減圧した。症例1と同様にサイロを徐々に縫縮し,日齢5に脱出腸管を全て腹腔内に還納できた。この時,同時に人工肛門を造設し,穿孔部が人工肛門となるようにした。人工肛門閉鎖・腸閉鎖根治術は完全に腸管の浮腫が改善する時期を待って,日齢70で施行した。症例1,2ともに最終手術後の経過は良好である。腸閉鎖を合併した腹壁破裂に対して,いずれも待機的な腸閉鎖根治手術が有効であった。症例1では,根治手術までの間の経鼻胃管チューブが口側腸管の減圧に有効であり,症例2では穿孔部に挿入したドレーナージチューブが,減圧と感染予防の点で有用であった。
(無断転載を禁ず:千葉医学会)
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