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千葉医学雑誌

千葉医学雑誌一覧
 
千葉医学 84 (2) :53-107, 2008

第85回千葉医学会総会案内
総説
「魅力ある大学院教育」イニシアティブ(大学院GP-Good Practice)
「情報集積型医療創薬を担う若手研究者の育成」
   ― 本教育プログラムの成果と評価 ―
 田村 裕(和文・PDF)
頚椎症性神経根症に対する治療
 宮下智大 山崎正志 大河昭彦 国府田正雄 高橋和久(和文・PDF)

展望
最新の食道癌治療 −個別化治療をめざして−
 松原久裕(和文・PDF)

原著
ヒト細胞RSaと派生株UVr-1におけるカドミウム変異誘導に対する感受性の相違
 紀 仲秋 菅谷 茂 鈴木信夫(英文・PDF/HTML

症例
発展途上国における口唇口蓋裂プロジェクトで経験した希な顔面裂と現地における治療上の問題点
 石井啓子 宇田川晃一 力久直昭 吉本信也 一瀬正治(和文・PDF)
 
海外だより
University of Cincinnati留学記(和文・PDF
 久保木 知
アテネ留学記(和文・PDF
 川本 潤

学会
第1150回千葉医学会例会・整形外科例会(和文・PDF

編集後記 (和文・PDF


 
   
  頚椎症性神経根症に対する治療
宮下智大 山崎正志 大河昭彦 国府田正雄 高橋和久
千葉大学大学院医学研究院整形外科学


 頚椎症性神経根症は日常的に診療する機会の多い疼痛疾患である。多くは保存療法で対処しうるが,保存療法で軽快しない例や神経症状の強い例では手術療法が行われることもある。しかし治療法についての明確な基準がなく,治療法が医師により大きく異なっているというのが実情である。  保存療法として頻用されるカラー固定,牽引療法は概ね良好な成績の報告が多い。薬物療法,神経ブロック療法も行われるが,いずれもエビデンスに乏しく経験論に基づいたものであることが多い。  手術療法は非常に有効であることが多い。しかし,手術の適応,タイミング,術式にコンセンサスがなく,手術療法の評価が適切に行われていない。  保存療法と手術療法の比較では,手術療法により早期の症状改善が得られるが,長期的な成績は保存療法と差がないとする報告が多い。しかし,保存療法と手術療法を比較した質の高い研究はなく,今後の検討が待たれる。  
 
   
  ヒト細胞RSaと派生株UVr-1におけるカドミウム変異誘導に対する感受性の相違
紀 仲秋 菅谷 茂 鈴木信夫
千葉大学大学院医学研究院環境影響生化学


 【目的】化合物によるヒト細胞での変異原活性を高感度で検出し,その変異誘導メカニズムを探究できる方法の開発が希求されている。ヒト細胞へ致死毒性や他生物での変異原活性などの報告があるカドミウムについては,ヒト細胞における変異原活性とそのメカニズムに関する詳細な報告が未だない。そこで,変異原活性の検出に有用な培養ヒト細胞を利用することにより,カドミウムの変異原活性を高感度で検出可能とさせ,その活性の特異な点を明らかにすることとした。
 【方法】培養ヒト細胞RSaとその派生株UVr-1を使用した。変異原活性の検出には,ウワバイン耐性化形質変異の検出法と癌遺伝子K-rasのコドン12における塩基置換変異を検出する方法を併用した。遺伝子傷害については,コメットアッセイ法を用いて解析した。
 【結果】RSa細胞におけるカドミウムの変異原活性はウワバイン耐性化と塩基置換の両変異で検出され,他方,UVr-1細胞ではウワバイン耐性化でわずかな変異誘導がみられたが塩基置換変量は検出されなかった。但し,両細胞と共にDNA傷害が誘導された。
 【結語】培養ヒト細胞RSaを用い,DNA傷害を介してのカドミウムの変異原活性を用い,高感度で検出可能とすることが示唆された。RSa細胞とUVr-1細胞では除去修復のレベルに相違がないことから,カドミウムの変異原活性を抑える除去修復以外の他のメカニズムがあるとの示唆が得られた。  
 
   
  発展途上国における口唇口蓋裂プロジェクトで経験した希な顔面裂と現地における治療上の問題点
石井啓子1) 宇田川晃一2) 力久直昭2) 吉本信也2) 一瀬正治2)
1)国立病院機構千葉医療センター形成外科 2)千葉大学附属病院形成美容外科


 当教室では1995年よりネパールで,年1回,約2週間ずつ,現地の病院と協力して口唇口蓋裂のボランティア手術を行ってきた。この間,約750名の患者に手術を行ったが,その中には,12名の非常に希な頭蓋顔面裂の患者も含まれていた。これらの患者は唇裂・口蓋裂患者に比べて変形や欠損が大きく,骨切り術や骨移植術などが必要となることもある。しかし,ネパールの病院では手術の器具の不足や,術後の感染,術後のケアの問題などで,侵襲のある手術を行うことはほとんどできなかった。今後は,侵襲の大きな手術に関しては,設備の充実した病院で手術ができるようなルートを作ることが必要と思われる。  本誌では,本学において初めて開催したセミナーの様子について紹介します。
 
   
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