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千葉医学 84 (3) :109-163, 2008

第84回千葉医学会学術大会(第45回日医生涯教育講座)(和文・PDF)

最終講義
私の歩んできた神経内科学の道
服部孝道 (和文・PDF

展望
21世紀の呼吸器外科学
吉野一郎 (和文・PDF
 
原著
ヒト椎間板性腰痛の感覚神経支配に関わる検討
― 椎間板性腰痛に対する上位の神経根ブロックと下位の神経根ブロックの効果の比較 ―

 大鳥精司 鮫田寛明 村田泰章 花岡英二 中村伸一郎 高橋 弦 山縣正庸 高橋和久(英文・PDF/HTML

骨髄系悪性腫瘍に対する用量減量前処置による非血縁者間及びHLA不適合血縁者間同種造血幹細胞移植
 伊勢美樹子 中世古知昭 阿部大二郎 小田佳世  大和田千桂子  小澤真一 武内正博
 堺田恵美子 清水直美 増田真一 趙 龍桓 西村美樹 齋藤 康  (英文・PDF/HTML)
       
口腔多発癌症例の臨床的観察
 伏見一章 椎葉正史 中津留誠 倉澤良典 吉田成秀 坂本洋右 小野可苗 小河原克訓
 武川寛樹 横江秀隆 鵜澤一弘 丹沢秀樹 (和文・PDF)

学会
第1155回千葉医学会例会・臓器制御外科学教室談話会(和文・PDF)
第1156回千葉医学会例会・平成19年度先端応用外科学例会(和文・PDF)

編集後記(和文・PDF)

 
   
  ヒト椎間板性腰痛の感覚神経支配に関わる検討
― 椎間板性腰痛に対する上位の神経根ブロックと下位の神経根ブロックの効果の比較 ―
大鳥精司 鮫田寛明 村田泰章 花岡英二 中村伸一郎 高橋 弦 山縣正庸 高橋和久 
千葉大学大学院医学研究院整形外科学

  【目的】ヒト椎間板を支配する後根神経節からの感覚神経支配を調べるために,椎間板性腰痛に対して,上位の神経根ブロックと下位の神経根ブロックを比較検討したので報告する。
 【方法】68人のMRIにてL4/5またはL5/S1に椎間板変性を伴う腰痛患者に対し,ランダムに神経根ブロックを行った。内訳はL2神経根ブロックが34人,L4またはL5神経根ブロックが34人であった。それぞれ,1.5mlのリドカインを使用し,ブロック前後の疼痛と効果期間に関してvisual analogue pain scale (VAS)を用いて評価した。
 【結果】ブロック後,両群共に椎間板性腰痛を有意に軽減させた(P<0.05)。ブロック前に比較し,ブロック15分後のVAS値はL2神経根ブロック群で8.0から4.3に,L4またはL5神経根ブロック群で7.8から3.4と改善していた。ブロック前後のVAS値に関し,両群に差はなかった(P>0.05)。しかしながら,ブロックの効果有効期間はL2神経根ブロック群で平均13日,L4またはL5神経根ブロック群で平均8日であり,有意にL2神経根ブロック群に効果が長かった(P<0.05)。
 【考察と結論】上位後根神経節由来(L2神経根),下位後根神経節由来(L4またはL5神経根)の感覚神経線維は共に,L4/5またはL5/S1椎間板を支配していると考えられた。ブロックの効果に関して,L2神経根ブロック群とL4またはL5神経根ブロック群で効果期間に有意差があった。その機序は不明であるが,今後更なる検討が必要と考えられた。  
 
   
  骨髄系悪性腫瘍に対する用量減量前処置による非血縁者間及びHLA不適合血縁者間同種造血幹細胞移植
伊勢美樹子1,2) 中世古知昭1) 阿部大二郎1) 小田佳世1) 大和田千桂子1) 小澤真一1) 武内正博1) 堺田恵美子1) 清水直美1) 増田真一1) 趙 龍桓1) 西村美樹1) 齋藤 康1)
1) 千葉大学大学院医学研究院細胞治療学  2) 千葉県がんセンター腫瘍・血液内科


  同種造血幹細胞移植療法の最近の進歩は著しいが,高齢や臓器障害,合併症などの理由により,通常の骨髄破壊的前処置による同種造血幹細胞移植の適応にならない患者は未だ多く,さらにHLA適合血縁ドナーを有する患者は30%以下に限られる。我々は,HLA適合血縁ドナーを有しない骨髄系悪性腫瘍9症例に対して,フルダラビンとブスルファンを基本とする用量減量前処置により,非血縁者間またはHLA不適合血縁者間同種造血幹細胞移植を行った。血縁者間骨髄移植が6例,HLA血清型不適合血縁者間移植が2例,HLA血清型不適合非血縁者間臍帯血移植が1例。全例で移植後中央値15日目に生着が得られ,28日目にはドナー型が95%以上の完全キメラとなった。1例でグレード3の移植関連毒性がみられた。2度以上の急性GVHDを6例に認め,全身型の慢性GVHDを4例に認めた。移植後100日以内の早期死亡はなく,2回目の造血幹細胞移植であった2症例のうち,1例が再発にて,1例が急性GVHDにて死亡した。残る7症例は現在も寛解生存中であり,同種造血幹細胞移植後の4年無病生存率は77.8%であった。これらの結果から,通常の骨髄破壊的移植が適応にならず,HLA適合血縁ドナーを有しない症例に対しても,今回の用量減量前処置を用いた同種移植によりドナー幹細胞の速やかな生着が得られ,毒性が軽度で比較的安全に施行できることが示され,移植適応のさらなる拡大が期待できることが示唆された。
 
   
  口腔多発癌症例の臨床的観察
伏見一章 椎葉正史 中津留誠 倉澤良典 吉田成秀 坂本洋右 小野可苗 小河原克訓
 武川寛樹 横江秀隆 鵜澤一弘 丹沢秀樹 
 千葉大学医学部附属病院歯科・顎・口腔外科


  口腔多発癌は比較的まれな症例であり予後も悪いとされている。今回の観察は口腔に発生する多発癌の特徴をあきらかにすることを目的としている。1997年から2002年の間に千葉大学附属病院において口腔扁平上皮癌と診断された151症例中に13症例(8.6%)の多発癌症例を経験した。これら多発癌症例と単発癌症例との間で臨床的特徴(性別,年齢,TNM分類)に有意な差異は認めなかったが,多発癌症例群は単発癌症例群と比較してやや進行癌である傾向を示した。多発癌症例における第1癌と第2癌との発生間隔は平均3年7か月であった。多発癌の第1癌が最も多く認められた部位は歯肉であり,一方単発癌は舌,歯肉が好発部位であった。病理組織型では高分化型癌が多く,多発癌症例で61.5%,単発癌症例で78.3%を占めた。5年累積生存率は多発癌症例73.8%,単発癌症例87.0%であった。これらの結果は,臨床的特徴から進行度が低いと考えられたとしても多発癌は治療が困難である可能性を示唆している。今回の観察においては放射線治療を受けたことのある多発癌症例はなく,また喫煙や飲酒といった習慣と多発癌との間に統計的に有意な関連は認められなかった。
 
   
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