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千葉医学雑誌

千葉医学雑誌一覧
 
千葉医学 85 (3) :107-167, 2009
展望
呼吸器病学 21世紀の課題
 巽 浩一郎 (和文・PDF
原著
慢性GVHDにおけるNK T細胞の役割
 花岡英紀 大石嘉則 坂本明美 倉沢和宏 西村美樹 岩本逸夫 齋藤 康(英文・PDF/HTML
生活習慣病診療における患者が自分自身の医学データを認識することの役割
 ネフ由紀子 武城英明 宮下 洋 内田大学 伴 俊明 田代 淳 山崎健也
 石川 耕 徳山隆弘 姜 美子 河村 徹 齋藤 康(英文・PDF/HTML)
症例
対麻痺が癌の初発症状となった転移性胸髄髄内腫瘍の1例
 鈴木 都 大河昭彦 村上正純 染谷幸男 門田 領 宮下智大 
 萬納寺誓人 高橋和久 山崎正志(和文・PDF)
研究紹介
クライオピリン関連周期熱症候群の病態解析
 神戸直智 中村悠美 松江弘之(和文・PDF)
生殖機能病態学
 生水真紀夫 碓井宏和 木原真紀 石川博士 三橋 暁 楯 真一
 加藤一喜 尾本暁子 田中宏一 長田久夫(和文・PDF)
千葉大学医学部附属病院Aiセンター
 山本正二(和文・PDF)
話題
平成20年度 千葉大学ベストティーチャー賞を受賞して
−小児病棟の患者さん達へ感謝を込めて−
 菱木はるか(和文・PDF)
グローバルCOEプログラム「免疫システム統御治療学の国際教育研究拠点」
 本橋新一郎 中山俊憲(和文・PDF)
海外だより
セントルイスに3年間留学して
 神田達郎(和文・PDF)
学会
第1173回千葉医学会例会・整形外科例会(和文・PDF)
編集後記(和文・PDF)

 
   
  慢性GVHDにおけるNK T細胞の役割
花岡英紀 大石嘉則 坂本明美 倉沢和宏 西村美樹 岩本逸夫 齋藤 康 
千葉大学大学院医学研究院細胞治療学

  【目的】マウスNK T細胞はIL-4,IFN-γを産生し,免疫系の調節細胞と考えられている。この細胞はアロ反応性を抑制し,GVHDを抑制する細胞である可能性が指摘されている一方で,GVHDにて細胞傷害活性を発揮し病態増悪因子であることも報告され,未だGVHDにおけるNK T細胞の果たす役割は明確にされていない。本研究ではヒトNK T細胞と考えられるCD4−8−(DN) Va24 JaQ T細胞(NK T細胞)が慢性GVHD(cGVHD)の病態と関連する可能性があるか否かを検討する目的で,骨髄移植(BMT)後の末梢血中のNK T細胞が再構築する時期,NK T細胞とcGVHD発症との相関について解析を行った。
 【方法】 BMT症例8例(BMT後cGVHD発症4例,非発症例4例)の末梢血を用いた。cGVHD発症前後でのNK T細胞のflow cytometry法,RT-PCR法等による量的解析を行った。
 【結果】BMT症例8例のNK T細胞は末梢血単核球中の0.02-0.04%であり健常人と比較し低値であり経時的に変動は認められなかった。このうちNK T細胞の再構築をRT-PCR法によりBMT後1から3ヶ月に認めた。cGVHD発症群では発症時にNK T細胞が減少し,ステロイド治療による症状改善と共にNK T細胞は再増加した。一方,cGVHD非発症群では全経過においてNK T細胞が検出された。
 【結論】NK T細胞はBMT後3ヶ月で再構築された。このNK T細胞はcGVHDの活動性に相関して減少,消失することからNK T細胞はcGVHDの病態に関与している可能性が示唆された。
 
 
   
  生活習慣病診療における患者が自分自身の医学データを認識することの役割
ネフ由紀子1) 武城英明2) 宮下 洋3) 内田大学4) 伴 俊明5) 田代 淳6,7) 山崎健也7) 石川 耕8) 徳山隆弘8) 姜 美子2) 河村 徹2) 齋藤 康1)
1) 千葉大学大学院医学研究院細胞治療学 2) 千葉大学大学院医学研究院臨床遺伝子応用医学 3) 東邦大学医療センター佐倉病院 4) 君津中央病院 5) 国保国吉病院 6) 千葉県循環器病センター 7) 松戸市立病院 8) 国保小見川総合病院


  本研究は生活習慣病の改善において患者自身による自分の医学データを認識することの意義を検討することを目的とした。702名の患者を対象にアンケート調査を行い,身体データ,生化学データ,指導摂取カロリー値に関して『次の項目の値を知っていますか』という質問に『はい』と答えた数を合計して病態認識度とした。6ヶ月後に患者の担当内科医師が病態改善度を評価し,患者認識度との関連を解析した。体重,腹囲,血圧,総コレステロール,HDLコレステロール,トリグリセリド,グルコース,HbA1c,摂取カロリーの項目値を認識する患者群の改善度は,それぞれ認識していない患者群の改善度に比較して有意に増加した。認識度が男性3以上および女性5以上の患者の改善度は,認識度1,2の男性と女性の対象の改善度よりそれぞれ有意に高値だった。多変量解析により,全項目の中で腹囲と血圧が,生化学データの中でHbA1cとHDLコレステロールが,身体および指導データの中で摂取カロリーと血圧が病態改善度と有意に関連した。以上の結果から,患者自身により自分の医学データを認識することが生活習慣病の病態を改善することに貢献する可能性が考えられる。
 
   
  対麻痺が癌の初発症状となった転移性胸髄髄内腫瘍の1例
鈴木 都 大河昭彦 村上正純1) 染谷幸男 門田 領 宮下智大
   千葉大学大学院医学研究院整形外科学 1)千葉市立青葉病院整形外科


  症例は62歳男性。両下肢脱力,排尿障害を主訴とし,MRIにて胸髄に髄内腫瘍が確認された。麻痺の進行が急速であったため,緊急で脊髄切開,腫瘍摘出術を行った。術中迅速病理診断にて腺癌の転移と判明し,術後の精査で原発は肺腺癌と診断された。MRIで転移性髄内腫瘍を診断することは困難であるが,Gd造影像においてring様enhance所見を呈し,かつ下肢麻痺が急速に進行する髄内腫瘍では,癌の転移を疑う必要がある。
 
   
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