千葉医学会 The Chiba Medical Society
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千葉医学雑誌

千葉医学雑誌一覧
 
千葉医学 85 (4) :169-232, 2009

第85回千葉医学会学術大会(第46回日医生涯教育講座)(和文・PDF
特別講演 前立腺癌の内分泌療法 (和文・PDF
 島崎 淳(千葉大学 名誉教授)
招待講演 前立腺癌における臨床ならびに基礎的研究の現状と課題(和文・PDF
 市川智彦(千葉大学大学院医学研究院 泌尿器科学 教授)
 
原著
静的姿勢制御機能における加齢変化−鉛直・水平方向の足圧中心振動と年齢・体重・身長−
 浅野由美 下山一郎 村田 淳 (英文・PDF/HTML
静止立位時鉛直方向振動の加齢変化
 笠置泰史 下山一郎 吉田 晋 中澤 健 福武敏夫(英文・PDF/HTML

症例
107歳男性の大腿骨転子部骨折に対する骨接合術の1例
 中村順一 小野 豊 小笠原 明 岸田俊二 神川康也 高橋和久 (英文・PDF/HTML)

研究紹介
神経内科学: 講座紹介
 桑原 聡(和文・PDF)
CD4陽性T細胞におけるIL-21産生制御機構
 須藤 明 柏熊大輔 加々美新一郎 中島裕史(和文・PDF
耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学教室
 岡本美孝(和文・PDF
腫瘍内科学教室
 横須賀 收 今関文夫 吉川正治 露口利夫 石原 武 丸山紀史 新井誠人(和文・PDF
先端応用外科学(食道胃腸外科)
胃内視鏡的粘膜下層剥離術の術中患者ストレスの評価:唾液アミラーゼ活性測定の有用性の検討
 上里昌也 鍋谷圭宏 松原久裕(和文・PDF

海外だより
シンシナティ留学記
 酒井 望 (和文・PDF)  
らいぶらりい
ビッグ・ファーマ−製薬会社の真実
怖くて飲めない!−薬を売るために病気はつくられる
 石出猛史(和文・PDF)

学会
第1177回千葉医学会例会・千葉医学会例会・第26回神経内科教室例会 (和文・PDF)
第1179回千葉医学会例会・第29回歯科口腔外科例会(和文・PDF)

編集後記 (和文・PDF)

 
   
  静的姿勢制御機能における加齢変化−鉛直・水平方向の足圧中心振動と年齢・体重・身長−
浅野由美1) 下山一郎2) 村田 淳1)
1)千葉大学医学部附属病院リハビリテーション部
2) 千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター脳機能計測解析研究部門


 日常多く遭遇する高齢者の眩暈・眩暈感・浮遊感は加齢現象と処理され十分解明されていない。高血圧または高脂血症にて通院中の31歳から92歳までの80名のボランティアから研究の趣旨を説明後,同意を得て静止立位の足圧中心を記録解析し,年齢・体重・身長と姿勢制御機能の相関を検討した。被検者の平均体重は56Kg(標準偏差±10.4)で,平均身長は155p(±8.0)で,既往歴にメニエール・前庭神経炎・良性頭位変換眩暈はない。3ロードセルで支持した足底板に載り20秒の開眼静止起立位と20秒の閉眼静止立位を施行した。3荷重を20Hz,12bitで収集し水平面内前後方向・左右側方と,鉛直方向の信号とした。水平面内の足圧中心の移動距離と移動面積と,フーリエ解析によるパワーを前後方向・左右側方と鉛直方向について求め0〜10Hzまでの積分値として,年齢・体重・身長との相関係数を求めスピアマン検定により有意な係数を検討した。移動距離・面積ともに開眼・閉眼時に年齢と有意に相関が認められた。移動距離・面積とも身長・体重とは無相関であった。パワー値との相関で年齢との間に有意相関が認められたのは開眼閉眼とも左右側方と閉眼時の前後方向との間で,身長との相関では閉眼時前後方向と開閉眼時の鉛直方向との間に有意相関が認められた。体重との相関でも閉眼時前後方向と開閉眼時の鉛直方向との間に有意が認められたが,これらの結果は視覚機能が反映したものと推測した。今後,運動感覚機能低下のみならず,足圧中心変動は少ないのに眩暈感を訴える症例などの高次認知機能をも考慮した眩暈感の原因を詳細に検討し,転倒防止・予防に応用したい。
(無断転載を禁ず:千葉医学会)
 
   
  児童のアレルギー症状及び血清中TARC濃度の経年変化について
笠置泰史1,2) 下山一郎1),吉田 晋1,2),中澤 健2),福武敏夫3)  
1) 千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター脳機能計測解析研究部門
2) 千葉大学大学院医学研究院神経情報統合生理学
3) 亀田総合病院


  転倒が高齢者の生活の質に与える影響の重大さに鑑みれば,転倒リスクの評価方法の考案は危急の課題である。現在この指標の一つとして用いられている重心動揺計検査では,外乱に対する迅速な応答特性を必ずしも反映しない可能性が指摘されている。これに対し,荷重計出力の和として簡便に算出される垂直床反力は,動揺に対するダイナミックな姿勢制御特性を反映すると考えられる。本研究では,健常人の垂直床反力がもつ諸特性の加齢変化を解析し,これが転倒リスク評価の指標となる可能性について検討した。  3歳から93歳までの1,745名の健常ボランティアに対して行われた重心動揺検査データを対象とし,荷重計出力データより垂直床反力および鉛直加速度を求め,周波数解析を行った。分散分析にて10歳ごとの年齢群間に有意差のある周波数帯域を特定し,各周波数で群間比較した。  垂直床反力及び加速度の全変動(分散)は未成年と高齢者で高い典型的な鞍型の変化を示した。1.5-2 Hz帯域の鉛直振動のパワー及び2-6 Hz帯域での閉眼/開眼比は10歳以下群で著明に高く,いずれも20歳までに減弱した。51歳以上の群では,5-8 Hz帯域のパワーが加齢に伴って増加した。  本研究では従来報告されていなかった立位時鉛直方向振動と加齢の関係を,1,000人規模の調査をもとに解析した。未成年の閉眼時2-6 Hz帯域を中心とする振動は姿勢制御における前庭−視覚系の責任と,前庭-脊髄系の未発達とを示唆した。高齢者については,本研究により5-8 Hz帯域の鉛直方向振動が加齢変化をよく反映することが示されたことから,転倒リスク指標の候補たりうる可能性が示唆された。
(無断転載を禁ず:千葉医学会)
 
   
  107歳男性の大腿骨転子部骨折に対する骨接合術の1例
中村順一1),小野 豊2),小笠原 明2),岸田俊二1),神川康也3),高橋和久1)
1) 千葉大学大学院医学研究院整形外科学
2) 公立長生病院整形外科 3) 帝京大学ちば総合医療センター整形外科


 高齢化社会を迎えて,大腿骨頚部/転子部骨折患者の受傷時年齢も年々超高齢化しており,しばしば治療法の選択について苦慮することがある。大腿骨転子部骨折の手術例としては世界最高齢と思われる,107歳男性を経験したので報告する。骨折型はEvans分類Type 1 group 3の不安定型骨折で腰椎麻酔下に骨接合術を施行した。疼痛なく介助歩行可能となったが,術後11カ月後に肺炎で死亡した。100歳以上の患者は周術期管理に注意を要するが,手術により早期離床が可能であると思われた。
(無断転載を禁ず:千葉医学会)
 
   
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