千葉医学会 The Chiba Medical Society
千葉大学 千葉大学大学院医学研究院・医学部→
千葉大学医学部附属病院→
千葉医学会 The Chiba Medical Society HOME 千葉医学会の紹介 お知らせ Chiba Medical Journal 千葉医学雑誌 医学雑誌関連情報


千葉医学雑誌

千葉医学雑誌一覧
 
千葉医学 85 (6) :289-347, 2009

症例
外傷性膵損傷に対して膵温存術後に体尾部切除を要した1例
 当間智子 山本義一 高石 聡 佐久間洋一 舟波 裕 飛田浩司(和文・PDF
ジソピラミドの長期服用中に急性の尿閉と便秘をおこした1例
 石出猛史 鎗田 正 森  健(和文・PDF

研究紹介
胸部外科学
 吉野一郎 渋谷 潔 鈴木 実 吉田成利 岡本龍郎 守屋康充 星野英久 溝渕輝明 (和文・PDF
小児病態学
 下条直樹 河野陽一(和文・PDF

海外だより
The Miami Project to Cure Paralysis, University of Miami留学記
 萬納寺誓人(和文・PDF

学会
第1176回千葉医学会例会・千葉大学大学院医学研究院腫瘍内科学例会(和文・PDF
第1178回千葉医学会例会・第31回千葉大学循環病態医科学・循環器内科懇話会(和文・PDF
第1183回千葉医学会例会・第20回千葉泌尿器科同門会学術集会(和文・PDF

研究報告書
平成20年度猪之鼻奨学会研究補助金による研究報告書(和文・PDF

雑報
医療・健康を資源とした新たな都市の価値創造〜メディカルツーリズムからのアプローチ〜
 藤崎健吉 森 千里(和文・PDF
編集後記(和文・PDF
第二回(2010年度)千葉医学会賞および奨励賞候補者の公募について
第3回 ちばBasic & Clinical Research Conference開催のお知らせ
85巻総目次・索引

 
   
  外傷性膵損傷に対して膵温存術後に体尾部切除を要した1例
 当間智子 山本義一 高石 聡 佐久間洋一 舟波 裕 飛田浩司
 JFE健康保険組合川鉄千葉病院外科


 腹部外傷のなかでも膵損傷は稀であり,診断が遅れると致命的となることもある。  症例は71歳男性。乗用車運転中に駐車中の車両に衝突し受傷。左股関節脱臼骨折および多発左肋骨骨折と診断され,直ちに股関節脱臼骨折に対して脊椎麻酔下に整復術が施行された。術後顕在化した上腹部痛が徐々に増強し,受傷14時間後で当科に紹介された。造影CTにて膵頭部での断裂が認められ,血管外漏出像も見られたため,外傷性膵損傷(Vb型)および腹腔内出血と診断し受傷17時間後に緊急開腹手術を施行した。膵は頚部で完全断裂しており,膵頭部断端は単純縫合術を,体尾部は膵外瘻とした。術後腹腔内膿瘍を併発したため,二度の経皮的ドレナージ術を試みた。その結果,膿瘍腔の縮小効果は得られたが,経過中に結腸への穿破を来たしたため,最終的に膵体尾部切除術を施行した。近年では膵温存術やIVRが奏効したとの報告が散見されるがこれらに固執せず安全性を重視した臨機応変な治療法の選択が必要不可欠であると考えられた。
 
   
  ジソピラミドの長期服用中に急性の尿閉と便秘をおこした1例
 石出猛史 1) 鎗田 正2) 森  健2)
   
 1)千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学
 2)鎗田クリニック

 
 他院で長期にわたって降圧剤・抗不整脈薬などを処方されていた77歳の女性が,急性の便秘と尿閉をおこした。理学所見上急性腹症を疑う所見は認められず,腹部骨盤内X線CT・超音波・大腸内視鏡の検査でも,便秘および尿閉をおこしうる器質的疾患は見出されなかった。このため他院より処方されていたジソピラミドの抗コリン作用による,麻痺性イレウス及び尿閉を疑って中止したところ,排便・排尿は改善した。抗不整脈薬の適応と,高齢者における長期処方時の有害作用の出現には注意を要すると考えられた。

 
   
  医療・健康を資源とした新たな都市の価値創造〜メディカルツーリズムからのアプローチ〜
 藤崎健吉1) 森 千里2,3,4)
1)株式会社 藤崎事務所
2)千葉大学大学院医学研究院環境生命医学
3)千葉大学環境健康フィールド科学センター
4)千葉大学予防医学センター


 昨今,アジア諸国において,医療サービスと旅行をセットにした“メディカルツーリズム”が話題となっている。本論では,メディカルツーリズムの現状を概観し,千葉大学柏の葉キャンパス・予防医学センターが地域の医療資源として,どのような可能性を有しているのかを考察する。  現在,28カ国以上が海外からのメディカルツーリストの受け入れに応じており,毎年100万人以上の患者がこれを享受している。本国内でも,一部の病院で米国の医療認証機関の認証を取得する動きがみられる。一方で,通訳,滞在ビザや大使館との連絡,さらには円高による影響も大きく喫緊の課題を抱えていることも事実である。  千葉大学柏の葉キャンパス駅周辺では,国際学術都市構想を掲げ,「環境・健康・サスティナビリティ・交流」をテーマにさまざまな事業・活動が繰り広げられている。このキャンパスシティが整備されていく中で,医療・健康を資源とした新たな都市の価値創造としてメディカルツーリズムからアプローチする予防医学および公衆衛生学の展開として必要となる可能性が見込まれよう。
 
   
  お問い合わせ e-mail : info@c-med.org  

Copyright (C) 2002 The Chiba Medical Society. All Rights Reserved.