千葉医学会 The Chiba Medical Society
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千葉医学雑誌


千葉医学雑誌一覧
  千葉医学 86 (1) :1-41, 2010 
症例
腰椎椎間板ヘルニアと梨状筋症候群による2部位での神経障害の1例
 山口 毅 大鳥精司 山下正臣 古志貴和 山内かづ代 萬納寺誓人 鈴木宗貴 
東 秀隆 金 民世 廣瀬 彰 高相晶士 青木保親 井上 玄 高橋和久(英文・PDF/HTML)
Step-ladder advancement 法を用いた有茎内側足底皮弁による踵部再建の1例
 手塚崇文 佐藤兼重(和文・PDF)
圧迫性脊髄症の急性増悪期に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)投与による神経保護療法を施行した5症例
 佐久間 毅 山崎正志 国府田正雄 橋本将行 高橋 宏 林 浩一 川辺純子
 藤由崇之 古矢丈雄 山内友規 門田 領 宮下智大 萬納寺誓人 染谷幸男
 西尾 豊 鎌田尊人 腰塚周平 池田 修 喜多恒次 安宅洋美 吉永勝訓
 村田 淳 橋本光宏 大河昭彦 高橋和久(和文・PDF)

研究紹介
臓器制御外科学 肝胆膵研究室
 木村文夫 清水宏明 吉留博之 大塚将之 加藤 厚 吉富秀幸 古川勝規
 竹内 男 高屋敷吏 須田浩介 高野重紹 宮崎 勝(和文・PDF)
小児外科学
 吉田英生 菱木知郎 齋藤 武 照井慶太 佐藤嘉治(和文・PDF)

海外だより
サンディエゴ留学記
 井上 玄(和文・PDF)

学会
第1188回千葉医学会例会・第42回麻酔科例会・第70回千葉麻酔懇話会(和文・PDF
第1191回千葉医学会例会・臓器制御外科学教室談話会(和文・PDF
編集後記 (和文・PDF

第86回千葉医学会学術大会(和文・PDF
千葉医学雑誌の表紙デザイン案の公募(和文・PDF
 
   
  腰椎椎間板ヘルニアと梨状筋症候群による2部位での神経障害の1例
 山口 毅 大鳥精司 山下正臣 古志貴和 山内かづ代 萬納寺誓人 鈴木宗貴 
東 秀隆 金 民世 廣瀬 彰 高相晶士 青木保親 井上 玄 高橋和久
 千葉大学大学院医学研究院整形外科学


  腰椎椎間板ヘルニアと梨状筋症候群による2箇所で神経障害を起こした症例を経験したので報告する。患者は約6ヶ月間頑固な坐骨神経痛に苦しむ60歳男性であった。臨床所見として左臀部から下腿外側にかけての放散痛,バレーの圧痛点,フライバーグテストで(股関節屈曲・内旋)陽性を認めた。MRIではL5/S1の左外側型腰椎椎間板ヘルニアと左側の梨状筋部の肥厚が確認された。坐骨神経ブロック,左L5神経根ブロックを行い両者とも一時的な症状の軽減を認めたが,保存療法では疼痛コントロール不良であった。腰椎神経根レベルと梨状筋レベルでの2か所の部位での神経圧迫症状と考え,まず梨状筋解離術を行い坐骨神経の圧迫を解除したところ症状は軽減したが,術後3ヶ月痛みが残存した。そのため,外側型腰椎椎間板ヘルニアに対する神経根の除圧と後方固定を行い,術後症状は消失した。以上より,腰椎レベルと梨状筋レベル2箇所での神経圧迫障害を認めるダブルクラッシュ症候群の存在を念頭に入れることが必要である。

 
   
  Step-ladder advancement 法を用いた有茎内側足底皮弁による踵部再建の1例
 手塚崇文1) 佐藤兼重2)
1) 高知大学医学部附属病院形成外科 2)千葉大学大学院医学研究院形成外科学


 足底荷重部は歩行により絶えず荷重や摩擦にさらされる部位である。特殊な耐圧構造を有することもあり,皮膚軟部組織欠損を生じたときは治療に難渋することが多い。足底荷重部の欠損に対しては従来より足底非荷重部からの皮弁を用いた再建が行なわれてきた。中でも内側足底皮弁は足底に特徴的な耐圧構造を有することから物理的強度が高く,潰瘍の再発を生じにくいため踵部再建の第1選択として広く用いられている[1,2]。われわれは糖尿病患者の踵部に生じた難治性皮膚潰瘍に対し,有茎の内側足底皮弁をstep-ladder advancement法を用いて移動することで治療を行なった。皮弁採取部に生じた欠損は全層植皮で被覆した。術後に瘢痕拘縮,異常角化などを生じることはなかった。本法は踵部の欠損の修復に有用な方法と考えられる。
 
   
  圧迫性脊髄症の急性増悪期に顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)投与による神経保護療法を施行した5症例
 佐久間 毅 山崎正志 国府田正雄 橋本将行 高橋 宏 林 浩一 川辺純子
 藤由崇之 古矢丈雄 山内友規 門田 領 宮下智大 萬納寺誓人 染谷幸男
 西尾 豊 鎌田尊人 腰塚周平 池田 修1) 喜多恒次2) 安宅洋美3)  吉永勝訓4)
 村田 淳5) 橋本光宏 大河昭彦 高橋和久
 千葉大学大学院医学研究院整形外科学 1)上都賀総合病 2)成田赤十字病院 3) 松戸市立病院
 4)千葉リハビリテーションセンター 5) 千葉大学医学部附属病院リハビリテーション部


 圧迫性脊髄症急性増悪例に対する顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte-colony stimulating factor: G-CSF)を用いた神経保護療法について,安全性確認を主目的としたphase I・IIa臨床試験を開始した。直近1ヵ月間に日本整形外科学会頸髄症治療判定基準にて2点以上の悪化を認めた5例に対して本試験を施行した。本人の自由意思による文書同意を得た後,G-CSF 5μg/kg/日を連続5日間点滴静注投与した。投与後に有害事象の有無を確認し,運動・感覚麻痺の推移,MRI所見の評価を行った。神経所見については,G-CSF投与後に,程度の差はあるものの全例で運動・感覚麻痺の改善が得られた。American Spinal Injury Association scoreは投与前の平均が運動79点,触覚72点,痛覚72点であり,投与後は運動89点,触覚94点,痛覚93点となった。白血球数は投与開始の翌日には15,200以上に上昇し,投与期間中は15,200〜43,200の値が維持され,最終投与の3日後には,ほぼ投与前の値に戻った。G-CSF投与期間中および投与後に有害事象の発生はなかった。
 
   
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