千葉医学会 The Chiba Medical Society
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千葉医学雑誌

千葉医学雑誌一覧
 
千葉医学 86 (2) :43-81, 2010

第87回千葉医学会総会案内
学術大会
第86回千葉医学会学術大会 プログラム(和文・PDF
T.特別講演
  一外科医ー血管外科医の回想:ニューヨークー大阪ー千葉での経験から
  中島伸之(和文・PDF
U.招待講演
  肝胆膵外科ー世界の現況と今後の課題ー
  宮崎 勝(和文・PDF
総説
腰椎椎間孔狭窄の診断
 江口 和 大鳥精司 山下正臣 山内かづ代 鈴木宗貴
 折田純久 鴨田博人 新井 玄 石川哲大 宮城正行
 桝田喜正 木川隆司 越智茂博 高橋和久(和文・PDF)
原著
住民健診からみた代謝障害の頻度とメタボリックシンドロームの合併 −市川市基本健康診査の解析 (1)−
 渡辺東也 小林靖幸 安部幹雄 岩澤秀明 浮谷勝郎 上白土洋俊
 大塚智博 河内山資朗 斎藤 彰 佐々木森雄 篠塚正彦 篠原正明
 廣瀬安紀 福澤健次 土橋正彦(和文・PDF)
症例
硬口蓋全欠損再建の1症例−舌弁による閉鎖と6年後の臨床結果
 佐藤知穂 吉本信也 宇田川晃一 力久直昭 金沢雄一郎 深谷佳孝 秋田新介 
 清水サラ 佐藤兼重(英文・PDF/HTML)
研究紹介
病原分子制御学(旧 微生物学第二講座)
 清水 健 八尋錦之助 盛永直子 野田公俊(和文・PDF
学会
第1190回千葉医学会例会・第30回歯科口腔外科例会(和文・PDF
第1197回千葉医学会例会・第27回神経内科教室例会(和文・PDF
編集後記 (和文・PDF


 
   
  腰椎椎間孔狭窄の診断
江口 和1) 大鳥精司1) 山下正臣1) 山内かづ代1) 鈴木宗貴1) 折田純久1)
鴨田博人1) 新井 玄1) 石川哲大1) 宮城正行1) 桝田喜正2) 木川隆司2) 越智茂博2) 高橋和久1)
1)千葉大学大学院医学研究院整形外科学
2) 千葉大学医学部附属病院放射線部


 整形外科診療において診断に難渋することの多い腰椎椎間孔狭窄について文献的考察を行った。腰椎椎間孔狭窄は脊椎退行性変化により脊柱管より外側の椎間孔内外で神経根・腰神経が絞扼を受ける状態と定義される。頻度は腰椎変性疾患の中で8-11%と報告されており,まれな病態ではない。臨床症状では,安静時下肢痛,腰椎後屈制限が高率に認められる。90%は保存加療可能だが,78%は遷延化すると報告されている。画像診断では,単純X線,CT,MRIが有用だが,false positiveが多く,選択的神経根造影・ブロックを組み合わせ総合的に診断する。最近では3D-CT,MR myelograpy,3D-MRI,電気生理学的診断などが有用との報告がある。しかし,Macnabらがhidden zoneと紹介したごとく,画像診断法が進歩した現代でも見落とされやすく,Failed back surgery syndromeの約60%を占め,手術成績を悪化させる一因となり,画像診断の進歩が期待される。われわれは最近,腰椎椎間孔狭窄診断に対する新たな試みとして拡散強調MRIを用いた検討を行っており,あわせて報告する。
 
 
   
  住民健診からみた代謝障害の頻度とメタボリックシンドロームの合併 −市川市基本健康診査の解析 (1)−
 渡辺東也 小林靖幸 安部幹雄 岩澤秀明 浮谷勝郎 上白土洋俊 大塚智博 河内山資朗
 斎藤 彰 佐々木森雄 篠塚正彦 篠原正明 廣瀬安紀 福澤健次 土橋正彦
市川市医師会健診検討研究会


 今回我々は,市川市基本健康診査における代謝障害の頻度とメタボリックシンドロームの合併について調査と解析を行った。2006年11月より2007年10月までの1年間に市川市基本健康診査受診者男性4,117名(平均年齢66.3歳),女性7,216名(平均年齢62.5歳)合計11,333名の健診結果を,高血圧,脂質代謝異常,糖尿病の薬物治療者も含めた受診者を対象に解析した。メタボリックシンドロームの頻度は男性26.4%,女性9.3%であった。男性の年代別の頻度は,40歳代20.5%,50歳代30.2%,60歳代27.9%,70歳以上25.1%であった。女性の年代別の頻度は,40歳代2.5%,50歳代4.9%,60歳代9.7%,70歳以上14.8%であった。男性は40歳代よりメタボリックシンドロームの頻度は20%以上が継続し,50歳代には収縮期血圧,拡張期血圧,総コレステロール,血糖が高くなった。以上の結果から,男性は50歳以前の若年期からメタボリックシンドロームに対する取り組みが必要であると思われる。女性は加齢によりBMIは変化をしないが,ウエスト周囲径,収縮期血圧,拡張期血圧,総コレステロール,中性脂肪,血糖が高くなり,HDLコレステロールが低くなった。女性は更年期から加齢によるウエスト周囲径の変化を捉える事が重要であると思われる。健康診断でのウエスト周囲径の測定を加えたメタボリックシンドロームの検討は,代謝障害の合併評価や健康指導に有用と考えられた。
 
 
   
  硬口蓋全欠損再建の1症例−舌弁による閉鎖と6年後の臨床結果
佐藤知穂1),吉本信也1),宇田川晃一1),力久直昭1),金沢雄一郎1),深谷佳孝1),秋田新介1),清水サラ2),佐藤兼重1)
1) 千葉大学医学部附属病院形成・美容外科
2) JFE川鉄病院形成外科


 口蓋裂患者の口蓋形成術後に生じた硬口蓋全欠損に対して,舌弁と欠損部周辺のturned-upにて再建術を行った。欠損の大きさは縦40o,横32oで,舌弁の大きさは33×55×4o(厚さ)であった。使用した舌弁は大きく,薄く,ほとんどの部分が裏打ちをもたず,骨の支えも有しなかった。6年後の状態では,舌弁には軽度の収縮がみられたが,表面は平坦で,瘢痕や潰瘍,瘻孔など認めなかった。触診では線維性硬であり,舌弁の辺縁部に軽度であるが知覚が存在した。舌を口腔から突出させると舌はわずかに狭小であったが,気になる程度の変形ではなく,口腔内に収まっているときはほとんど変形はみられなかった。舌の運動や嚥下,味覚にも特に異常はみられなかった。  口蓋の全欠損という巨大な口蓋瘻孔を舌弁で再建したという報告はわれわれが渉猟し得た範囲内ではみられなかった。骨の支えもない舌弁による再建は長期結果が危惧されたが,術後6年の経過で特に異常は見られなかった。舌弁は,口蓋裂患者のみならず,腫瘍切除後の欠損などの再建にも有用と思われた。
 
   
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