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千葉医学雑誌

千葉医学雑誌一覧
 
千葉医学 86 (6) :213-253, 2010

原著
腹腔鏡補助下腹会陰式直腸切断術における人工肛門造設経路の工夫
 星野 敢 菅本祐司 福長 徹 二宮栄一郎 今西俊介 木村正幸 飯野正敏 牧野治文 松原久裕(和文・PDF
高解像度眼底画像に対するMatched Filter処理の臨床応用
 辰巳智章 山本修一 下山一郎(英文・PDF/HTML
腰椎脊椎変形に対する仙腸骨固定の成績と合併症
 西能 健 大鳥精司 井上 玄 古志貴和 山下正臣 山内かづ代 鈴木宗貴
 折田純久 江口 和 落合信靖 岸田俊二 国吉一樹 中村順一 青木保親
 石川哲大 宮城正行 新井 玄 鴨田博人 鈴木 都 高相晶士 豊根知明
 山崎正志 高橋和久(英文・PDF/HTML

症例
圧迫性脊髄症急性増悪期例に対する顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を用いた
神経保護療法: Phase I/IIa臨床試験

 佐久間 毅 山崎正志 国府田正雄 高橋 宏 加藤 啓 林 浩一
  川辺純子 藤由崇之 古矢丈雄 山内友規 門田 領 宮下智大
  萬納寺誓人 染谷幸男 西尾 豊 鎌田尊人 腰塚周平 池田 修
  安宅洋美 蓮江文男 吉永勝訓 村田 淳 花岡英紀 橋本将行
  橋本光宏 大河昭彦 高橋和久(和文・PDF

学会
第1193回千葉医学会例会・千葉大学大学院医学研究院腫瘍内科学例会(和文・PDF
第1207回千葉医学会例会・第43回麻酔科例会・第71回千葉麻酔懇話会(和文・PDF

研究報告書
平成21年度猪之鼻奨学会研究補助金による研究報告書(和文・PDF

編集後記(和文・PDF
第三回(2011年度)千葉医学会賞および奨励賞候補者の公募について
第4回 ちばBasic & Clinical Research Conference開催のお知らせ
86巻総目次・索引

 
   
  腹腔鏡補助下腹会陰式直腸切断術における人工肛門造設経路の工夫

 星野 敢1) 菅本祐司1) 福長 徹1) 二宮栄一郎1) 今西俊介1) 木村正幸1) 飯野正敏1) 牧野治文2) 松原久裕3)
1)沼津市立病院外科
2) 社会医療法人社団木下会 鎌ヶ谷総合病院外科
3) 千葉大学大学院医学研究院先端応用外科学


 大腸癌に対する腹腔鏡下手術はその短期・長期成績に関しての検討において従来の開腹手術と比較し差が無いことが明らかとなり,国内外にて汎用されているのが現状である。しかしながら,直腸癌においてはその適応や標準術式が確立されておらず,依然限られた施設のみにて施行されている。我々は画像上明らかな側方転移を有さず,肛門側断端が十分に確保できない下部直腸進行癌に対し,腹腔鏡補助下の腹会陰式直腸切断術を施行してきた。本稿では左側腹部に設けたポート孔をストマ孔として利用し,腹膜外経路を用いた人工肛門造設を併用している手術手技を中心に報告する。
 
   
  高解像度眼底画像に対するMatched Filter処理の臨床応用
 辰巳智章 山本修一 下山一郎1)
   
 千葉大学大学院医学研究院眼科学講座
 1)千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター

 
 【目的】網膜像の血管強調を目的として,Matched Filter法が開発された(Chaudhuri et al, 1989)。Chaudhuriらの報告では,2.5x105画素数の画像に,手動でイメージスキャナーを使用してデジタル化したが,現在では107画素数以上の高解像度画像を直接処理可能になった。今回,正常眼底および網膜症の高解像度カラー画像に対してこのMatched Filter法を用いて解析をおこなった。
 【方法】無散瞳型眼底カメラに装着したデジタルカメラでカラー眼底写真を非圧縮撮影し,非圧縮保存し,緑成分の画像をMatched Filter法により処理した。正常眼底11眼,典型的な糖尿病網膜症7眼,網膜静脈分枝閉塞症21眼,加齢黄斑変性21眼を対象とし,研究の趣旨を説明し同意後解析した。網膜症に対しては蛍光眼底造影検査を施行し,その画像をMatched Filter法画像と比較検討した。
 【結果】Matched Filter法処理により細い網膜血管が強調された。糖尿病性網膜症では網膜最小血管瘤と新生血管が強調された。しかし,蛍光眼底造影により得られた無潅流領域はこの画像処理により明確にすることができなかった。
 【結論】Matched Filter法処理により網膜最小血管瘤や新生血管のような異常血管を強調することが可能であり,網膜症の診断に有用である可能性が示唆された。しかし,蛍光眼底造影検査の代わりになるものではない。さらに白内障や硝子体出血のような中間透光体に混濁があり画像撮影不良な疾患には限界があるが,スクリーニングの自動判定に有用であることが結論された。

 
   
  腰椎脊椎変形に対する仙腸骨固定の成績と合併症
 西能 健 大鳥精司 井上 玄 古志貴和 山下正臣 山内かづ代 鈴木宗貴 折田純久 江口 和 落合信靖 岸田俊二 国吉一樹 中村順一 青木保親 石川哲大 宮城正行 新井 玄 鴨田博人 鈴木 都 高相晶士 豊根知明 山崎正志 高橋和久

千葉大学大学院医学研究院整形外科学


 腸骨スクリューを使用した仙腸関節固定は不安定性の強い腰椎変形に対する手術成績を向上させると考えられている。しかしながら,強固な固定力をもたらす一方で,最上位の圧迫骨折,感染症等の問題も危惧される。従って本研究の目的は,腸骨スクリューを使用した仙腸関節固定後の臨床成績と合併症を検討する事である。  症例は12例であり,診断は変性側弯5例,腰椎再手術4例,透析による破壊性脊椎症2例,シャルコー脊椎1例であった。全ての患者は腰椎,仙椎,腸骨スクリューを用いた後側方固定術を行った。術前後の腰下肢痛,レントゲン,CTによる骨癒合,合併症を二年間に亘り調べた。腰下肢痛は術前に比較し有意に改善した。全ての患者で骨癒合が得られた。合併症として糖尿病を合併した患者2名に2週間以内の深部感染が認められた。また術後1年で最上位の圧迫骨折を2名の患者に認めた。  腸骨スクリューを使用した仙腸関節固定は術後2年成績では骨癒合,臨床成績共に良好であった。しかしながら合併症の危険性も高く,これらの使用に関しては充分にその危険性を考慮に入れて使用すべきである。
 
   
  圧迫性脊髄症急性増悪期例に対する顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)を用いた神経保護療法: Phase I/IIa臨床試験
 佐久間 毅 山崎正志 国府田正雄 高橋 宏 加藤 啓 林 浩一 川辺純子 藤由崇之 古矢丈雄 山内友規 門田 領
 宮下智大 萬納寺誓人 染谷幸男 西尾 豊 鎌田尊人 腰塚周平 池田 修 安宅洋美1) 蓮江文男2) 吉永勝訓3) 村田 淳4)   
花岡英紀5) 橋本将行 橋本光宏 大河昭彦 高橋和久

1) 松戸市立病院
2)君津中央病院
3) 千葉リハビリテーションセンター
4)千葉大学医学部附属病院リハビリテーション部
5) 千葉大学医学部附属病院臨床試験部


 我々は,圧迫性脊髄症急性増悪例に対する顆粒球コロニー刺激因子(Granulocyte-colony stimulating factor: G-CSF)を用いた神経保護療法について,安全性確認を主目的としたPhase I/IIa臨床試験を進めている。本試験の第1段階でG-CSF 5μg/kg/日投与の安全性が確認されたのに引き続き,今回は,第2段階としてG-CSF 10μg/kg/日の投与を行った。直近1ヵ月間に日本整形外科学会頸髄症治療判定基準にて2点以上の悪化を認めた12例に対して本試験を施行した。本人の自由意思による文書同意を得た後,G-CSF 10μg/kg/日を連続5日間点滴静注投与した。投与後に有害事象の有無を確認し,運動・感覚麻痺の推移の評価を行った。神経所見については,G-CSF投与後に,程度の差はあるものの全例で運動・感覚麻痺の改善が得られた。American Spinal Injury Association scoreは投与直前の平均が運動91.0±6.5点,触覚91.6±17.4点,痛覚86.5±15.9点であったのに対し,投与後1ヵ月後は運動98.0±3.2点,触覚99.1±15.3点,痛覚99.8±11.0点に改善した。白血球数は投与前6.1±1.6×103/μLに対し,投与開始の翌日には22.7×103/μL以上に上昇し,投与期間中は22.7〜47.3×103/μLの値が維持され,最終投与の3日後には,ほぼ投与前の値に戻った。G-CSF投与期間中および投与後に有害事象の発生はなかった。
 
   
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