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千葉医学雑誌一覧 |
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千葉医学 87
(1) :1-37, 2011
■総説
閉経後骨粗鬆症 −その病態と骨粗鬆症検診からみた現状−
龍野一郎 寺野 隆 高田啓一 山田研一 磯辺雄二 中村 貢
花岡和明 鈴木公典 窪田和子 池上 宏 山口淳一 生水真紀夫(和文・PDF)
■症例
Far-out syndromeによりL5神経根症を呈した1例
宮本周一 大鳥精司 井上 玄 古志貴和 山下正臣 山内かづ代 鈴木宗貴 折田純久 江口 和 青木保親 石川哲大 宮城正行 新井 玄 鴨田博人 鈴木 都 高相晶士 豊根知明 池田義和 高橋和久(英文・PDF/HTML)
献腎移植後30年経過時に頸髄症に対して後方除圧固定術が施行された1例
藤本和輝 山崎正志 林 浩一 高橋 宏 佐久間 毅 橋本光宏 加藤 啓
宮内英聡 根本哲治 有田誠司 柏原英彦 大河昭彦 高橋和久(和文・PDF)
腸重積を起こした直腸癌に対し待機的腹腔鏡手術を行った2症例
丸山哲郎 星野 敢 武藤頼彦 菅本祐司 二宮栄一郎 福長 徹 木村正幸 飯野正敏 松原久裕(和文・PDF)
■話題
千葉医学会の次世代人材育成活動の紹介
野田公俊(和文・PDF)
■研究室だより
帰国して頑張っています
黒田文伸(和文・PDF)
■学会
第1203回千葉医学会例会・アレルギー・膠原病内科,血液内科,糖尿病・代謝・内分泌内科,消化管グループ合同例会(和文・PDF)
■編集後記 (和文・PDF)
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●閉経後骨粗鬆症 −その病態と骨粗鬆症検診からみた現状−
龍野一郎1) 寺野 隆2) 高田啓一2) 山田研一2) 磯辺雄二2) 中村 貢2)
花岡和明2) 鈴木公典3) 窪田和子4) 池上 宏4) 山口淳一4) 生水真紀夫5)
1) 千葉大学大学院医学研究院細胞治療内科学
2) 千葉市骨粗鬆症検診精度管理研究会(千葉市医師会)
3) ちば県民保健予防財団
4) 千葉市保健所
5) 千葉大学大学院医学研究院生殖機能病態学
骨粗鬆症は高齢者のADLやQOLを阻害する代表的疾患のひとつで,わが国では約1,000万人が罹患していると推定される。骨粗鬆症は原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症に分けられ,続発性骨粗鬆症にはステロイド骨粗鬆症,副甲状腺機能亢進症,甲状腺機能亢進症などがあげられるが,臨床的には原発性骨粗鬆症,中でも閉経後女性におこる閉経後骨粗鬆症が重要であり,50歳以上の女性では骨粗鬆症は約650〜850万人にのぼると推定される。女性ホルモンのエストロゲンは骨代謝に重要な影響を及ぼしており,エストロゲンは骨芽細胞・破骨細胞の双方に作用し,骨吸収と骨形成のバランスをとることにより骨のリモデリングを定常状態に保って骨量を維持している。我が国では平成6年から婦人の健康診査の一環として骨粗鬆症検診が始まり,千葉市においては過去9年間(平成13年度〜平成21年度)にのべ69,906名の方が千葉市骨粗鬆症検診を受診され,異常なしが51%,要指導が23%,要医療26%(内訳: 骨量減少65%,骨粗鬆症35%)であった。骨粗鬆症検診での「要指導・要医療者」は半数にもおよび,今後 効率的かつ体系的な健康教育・健康指導・生活習慣介入・治療体制の確立が必要である。
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●Far-out syndromeによりL5神経根症を呈した1例
宮本周一 大鳥精司 井上 玄 古志貴和 山下正臣 山内かづ代 鈴木宗貴 折田純久 江口 和 青木保親 石川哲大 宮城正行 新井 玄 鴨田博人 鈴木 都 高相晶士 豊根知明 池田義和 高橋和久
千葉大学大学院医学研究院整形外科学
Far-out syndromeよるL5神経根障害を生じた症例を経験したので報告する。患者は12ヶ月間強度な坐骨神経痛を呈する62歳男性であった。臨床所見として左臀部から下腿外側にかけての放散痛を認めた。MRI,脊髄造影検査,神経根造影にてL5/S1の外側部のfar-out syndromeが疑われ,左L5神経根ブロックを行い症状の軽減を認めた。しかしながら,保存療法では疼痛コントロール不良であった。Far-out syndromeによるL5脊髄神経圧迫症状と考え,除圧固定術を施行し,症状は消失した。以上より,far-out syndrome稀な疾患であるが,far-out syndromeでの神経圧迫障害を認める症例を念頭に入れることが必要である。
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●献腎移植後30年経過時に頸髄症に対して後方除圧固定術が施行された1例
藤本和輝1) 山崎正志1) 林 浩一1) 高橋 宏1) 佐久間 毅1) 橋本光宏1) 加藤 啓1)
宮内英聡2) 根本哲治3) 有田誠司4) 柏原英彦4) 大河昭彦1) 高橋和久1)
1) 千葉大学大学院医学研究院整形外科学
2) 千葉大学大学院医学研究院先端応用外科学
3) 聖隷佐倉市民病院整形外科
4) 聖隷佐倉市民病院外科
症例は62歳男性。32歳時に献腎移植を受けた。53歳時に,頸椎症性脊髄症に対して自家腓骨を用いた前方除圧固定術(C2-C6),56歳時に第4腰椎変性辷り症に対して後側方固定術(L4-L5)が施行され,神経学的には順調に経過していた。61歳時頃から,移植腎の機能低下が顕著となった。62歳時,初回頸椎手術で偽関節となっていたC2-C3高位の不安定性が増し,脊髄圧迫が生じたため,四肢麻痺が急速に進行した。インストゥルメンテーションを併用した頸椎後方除圧固定術(C2-C7)が施行された。術中は腹臥位の体位で,移植腎が圧迫を受けないように注意を払い,超音波検査で腎血流を確認して手術を施行した。さらに,循環血液量の管理を慎重に行うことで,周術期の移植腎の機能低下を防止した。術後,偽関節部の骨癒合は得られ,麻痺も改善した。
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●腸重積を起こした直腸癌に対し待機的腹腔鏡手術を行った2症例
丸山哲郎 星野 敢 武藤頼彦 菅本祐司 二宮栄一郎 福長 徹 木村正幸 飯野正敏 松原久裕1)
沼津市立病院外科
1) 千葉大学大学院医学研究院先端応用外科学
成人腸重積症は稀であり,全腸重積症の5〜10%とされる。大腸腸重積症の先進部は盲腸,S状結腸に多いとされるが,直腸の腸重積症は稀である。今回我々は直腸癌を先進部とした腸重積症の2例に対し,待機的に腹腔鏡下ハルトマン手術を施行した。大腸癌の腸重積症に対し待機的に腹腔鏡下手術を行った例は検索しえた限りでは,自験例を含め11例であり,いずれも良好な経過であった。穿孔や腸管虚血などの緊急を要する所見がなければ,待機的な腹腔鏡下手術も考慮すべきであると考える。
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