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千葉医学雑誌

千葉医学雑誌一覧
 
千葉医学 87 (4) :133-180, 2011
学術大会
第87回千葉医学会学術大会(和文・PDF)
T.特別講演 眼科学に寄す
  演者:安達惠美子 先生(千葉大学名誉教授)(和文・PDF)
U.招待講演 Last Frontierに向かって
  演者:山本修一先生(千葉大学大学院医学研究院 眼科学 教授)(和文・PDF)
最終講義
放射線治療に従事して(和文・PDF)
 伊東久夫
講座
千葉大学医学部前史 −共立病院・公立千葉病院時代−
 石出猛史 (和文・PDF
原著
市川市基本健康診査受診者血清脂質の検討: nonHDLコレステロールに着目して
 −市川市基本健康診査の解析 (3)−

 渡辺東也 小林靖幸 安部幹雄 岩澤秀明  浮谷勝郎 大塚智博 河内山資朗
 上白土洋俊  齊藤 彰 佐々木森雄 篠塚正彦 篠原正明 廣瀬安紀 福澤健次
 土橋正彦 吉岡英征 武城英明 横手幸太郎(和文・PDF
認知機能の加齢変化−定量的解析−
 下山一郎 吉田明夫 弓削田多賀子 佐伯直勝 林 文明 吉崎英清 清水良平(英文・PDF/HTML)
学会
第1209回千葉医学会例会・第31回歯科口腔外科例会(和文・PDF)
第1210回千葉医学会例会・臓器制御外科学教室談話会 (和文・PDF)

編集後記 (和文・PDF)

 
   
  千葉大学医学部前史 −共立病院・公立千葉病院時代−
石出猛史
千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学


 千葉大学医学部の源は,明治7年(1874)に創設された共立病院とそれを継いだ公立千葉病院である。病院の設立は千葉県の衛生行政の一環として行われた。旧幕時代の慶応3年(1867)佐倉藩では,主として下級藩士と領内の窮民を対象とした洋式病院が設立運営されたが,共立病院は千葉県民を対象とした洋式病院の嚆矢でもあった。千葉県では新たに医師になる者に対して,洋式医学を教育するための機関として,公立千葉病院に医学教場を設置した。一方従来の開業医を対象として,県内各地に医学講習所を設けて,洋式医学の教育を行った。共立病院・公立千葉病院の医師は通常の診療のみならず,医学生の教育・住民に対する種痘・梅毒検疫などの多種多様な業務をこなした。医学教場の卒業生は,公立千葉病院で診療にあたるか地域での診療に従事した。千葉県における近代の医療は,当初このような医師たちによって担われた。またこの時代の数少ない知識人として,地方の行政において指導的な役割を果たす医師も少なくなかった。
(無断転載を禁ず:千葉医学会)
 
   
  市川市基本健康診査受診者血清脂質の検討: nonHDLコレステロールに着目して
 −市川市基本健康診査の解析 (3)−
渡辺東也 小林靖幸 安部幹雄 岩澤秀明  浮谷勝郎 大塚智博 河内山資朗
上白土洋俊  齊藤 彰 佐々木森雄 篠塚正彦 篠原正明 廣瀬安紀 福澤健次
土橋正彦 吉岡英征 武城英明1) 横手幸太郎2)
市川市医師会成人病検討研究会
1)千葉大学大学院医学研究院臨床遺伝子応用医学
2)千葉大学大学院医学研究院細胞治療内科学(糖尿病・代謝・内分泌内科)



   本研究は動脈硬化性疾患のリスクとなる脂質代謝異常の特徴と脂質代謝異常の脂質管理におけるnonHDLの有用性について検討することを目的とした。市川市基本健康診査受診者のうち高血圧,脂質代謝異常症,糖尿病の薬物治療を受けていない男性2,086名(平均年齢58.0歳)と女性4,357名(平均年齢55.6歳)の血清脂質を検討した。年代別血清脂質の平均値でみると,男性の総コレステロール,LDL,nonHDLは50歳代が最も高く,中性脂肪は40歳代が最も高かった。女性の総コレステロール,LDL,nonHDL,中性脂肪は年代が上がると高くなり,HDLは60歳代で低くなった。男性のメタボリックシンドローム群ではノンメタボリックシンドローム群と比較して,総コレステロール,nonHDL,は有意に高く,LDLは両群間に差を認めなかった。男性のnonHDLはLDLと高い相関を認め,LDL140mg/dLに相当するnonHDLは165mg/dLであった。女性のnonHDLもLDLと高い相関を認め,LDL140mg/dLに相当するnonHDLは156mg/dLであった。以上の結果より動脈硬化のハイリスクとして知られているメタボリックシンドローム群では,LDLは変わらずnonHDLは高くなりHDLは低くなった。nonHDLを構成するレムナントや小型LDLの増加とHDLの低下が日本人のメタボリックシンドロームに見られた事は,メタボリックシンドロームの経過を追っていく際LDLだけでなくnonHDLにも注意をする必要があると思われる。  
(無断転載を禁ず:千葉医学会)
 
   
  認知機能の加齢変化−定量的解析−
下山一郎1) 吉田明夫1,2) 弓削田多賀子2) 佐伯直勝1,3) 林 文明1) 吉崎英清1) 清水良平4)
1) 千葉大学フロンティアメディカル工学研究開発センター
2) 吉田医院
3) 千葉大学医学研究院脳神経外科
4) 清水脳神経外科


 神経の加齢はCT/MRIスキャンでは皮質萎縮/脳室拡大とか無症候性梗塞などで観察され,はたらきにはミニメンタルステツとか改訂長谷川式簡易知能スケールなどの質問票が必須となる。脳梗塞などの局所所見がなくても,大脳高次機能とりわけ認知症核症状の記憶・認知機能にも加齢はおこる。CT/MRIスキャンで異常所見が無いのに認知症例もあり,その逆にも遭遇する。形態と機能は必ずしも並行しない。認知機能は質問表とか積木などの行動を点数化して用いるのがほとんどで,客観的方法としては機能的MRI・脳磁図・単一光子放射断層撮影・陽電子放射断層撮影で検査できるが軽症では行われない。認知機能を客観的定量的に解析するために反応時間(RT)をもちいて,視覚・聴覚・振動覚・左右認識・短期記憶認識におけるそれぞれの認知RTについて計測し,加齢変化について検討した。対象者は21〜88歳の平均63.8歳,標準偏差14.2歳の男73女42名の115名から同意を得て記録した。被検者に視力障害・聴力障害・感覚障害・脳卒中などの既往歴はない。平均RTは,視覚認知RT: 0.48±0.17秒,聴覚認知RT: 0.44±0.28秒,振動覚認知RT: 0.51±0.20秒,左右認識認知RT: 9.12±4.01秒,短期記憶認知RT: 5.26±2.45秒であった。すべてのRTと年齢との相関は有意であった。分散分析では,左右認識認知RTと他のRT,短期記憶認知RTと他のRTと有意差が認められた。RTが年齢と有意に相関して長くなるという今回の結果から,将来的な研究によって,RTで認知症と健康者を鑑別できる可能性が示唆された。
(無断転載を禁ず:千葉医学会)
 
   
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