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千葉医学雑誌一覧
 
千葉医学 72 (4) :225-299, 1996

講座
幕末における千葉県の医療制度に関する考察U:佐倉藩の医療制度改革4
 石出猛史

肺血流スキャンで診断した消化器外科手術後急性肺塞栓症の2例
 島田英昭 尾崎正彦 有我隆光 大島郁也 丸山尚嗣 木下弘寿 竹田明彦 吉村清司 庄古知久

腹膜硬化症を合併した長期CAPD患者の1剖検例
 松村千恵子 倉山英昭 宇田川淳子 西岡 正 秋草文四郎

話題
腸管出血性大腸菌0157
 野田公俊

らいぶらりい
Surgical Pathology Dissection:An Illustrated Guide
 秋草文四郎

学会
第8回千葉県MOF研究会
第11回千葉腎病理集談会
第11〜l6回千葉カルシウム代謝研究会
第3〜7回千葉県輸血懇話会,第8回千葉県輸血研究会
第927回千葉医学会例会,第30回肺癌研究施設例会
第931回千葉医学会整形外科例会

編集後記

 
   
  幕末における千葉県の医療制度に関する考察U:佐倉藩の医療制度改革4
石出猛史  千葉大学医学部内科学第三講座


日本国内が尊皇攘夷運助で揺れる中、佐倉藩も真忠組の乱・水戸藩子年騒動などに際して頻繁に出兵を強いられた。元冶元年(1864)前藩主堀田正睦が没した後、慶応年間に入っても医療制度改革は継続して行われた。この改革は藩の兵制改革の一環として行われた。その内容は、i)藩の制式医学として西洋医学の採用と漠方医学の廃止、ii)藩医の職制の変更と軍医としての再編成、iii)養生所の開設が挙げられる。しかし明治新政府の成立に伴って明治3年(1870)種痘亊業も医学所から在野の町医に移管され、同年11月には佐倉藩医学所も閉鎖された。その後も藩校において医学教育は行われたが、明治5年の学制発布に伴って藩校も閉鎖された。ここに39年問にわたる佐倉藩独自の医療制度も幕が下ろされた。
 
   
  肺血流スキャンで診断した消化器外科手術後急性肺塞栓症の2例
島田英昭 1)尾崎正彦 1)有我隆光 1)大島郁也 1)丸山尚嗣 1)木下弘寿 1)竹田明彦 1)吉村清司 1)庄古知久 
千葉大学医学部外科学第二講座 1)横浜労災病院外科


当科において最近、消化器外科手術後急性肺塞栓症を2例経験したので報告する。症例lは45歳女性。進行胃癌に対して胃全摘出術を施行後、2日目に突然呼吸困難と胸痛を主訴として発症した。症例2は、70歳女性。胆嚢結石症に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行後、第2日目に突然呼吸困難を訴え頻脈を呈した。2症例とも術後第2病日の歩行開始時期に一致して発症している。2症例とも主訴は、呼吸困難であり、低酸素血症を呈した。臨床所見より急性肺塞栓症を疑って肺血流スキャンを施行した結果、陰影欠損を認めたため塞栓症と診断した。直ちにウロキナーゼ及びヘパリンによる抗凝固療法を施行し、極めて有効であった。2症例とも治療開始後2〜3日で臨床症状は著明に改警し良好な経過であった。
 
   
  腹膜硬化症を合併した長期CAPD患者の1剖検例
松村千恵子 倉山英昭 宇田川淳子 西岡 正1) 秋草文四郎1) 国立療養所千葉東病院小児科  1)千葉大学医学部病理学第二講座


若年性ネフロン癆による慢性腎不全でCAPD(continuous ambulatory peritoneal dialysis)導入し、6年6カ月後に死亡した20歳男性の1剖検例を報告した。CAPD導入数カ月後、腹膜炎による除水能低下を起こしたが、約5カ月後に回復した。CAPD導入1年5カ月以降重症な腹膜炎罹患により除水能低下状態が遷延したが、次第に回復した。しかし、体液貯留傾向のため、3年2カ月後より高張透折液を使用し除水量の増加を得たが、3年9カ月後に不可逆的な除水能低下状態となった。一方、クレアチニンの透析排液/血漿濃度比(D/P)から見た溶質除去能は、その約半年後まで保たれており、血清クレアチニン値の上昇は軽度であった。剖検にて腹膜の線維性肥厚と高度の内腔狭窄を伴う動静脈硬化を認め、腹膜硬化症と診断した。本例の腹膜硬化症は、頻回の腹膜炎と高張透折液の使用が主な原因と考えられた。腹膜機能を長期に維持するためには、腹膜炎の予防と高張透折液の使用を最小限にすることが重要と考えられた。
 
   
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