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千葉医学雑誌

千葉医学雑誌一覧
 
千葉医学 79 (2) :51-89, 2003

展望
オーダーメイド健康管理への展望
 羽田 明(和文・PDF)

原著
緑内障手術前後のパターン VECP による評価
 塚本和秀 藤本尚也 安達惠美子(英文・PDF)
 
Frequency doubling perimetry による緑内障性視野異常の長期変動
 蓑輪勝行 藤本尚也 塙 忠雄 宮内 修 安達惠美子(英文・PDF)

海外だより
海外留学記 ワシントン大学
 片岡雅章(和文・PDF)
  
学会
第1053回千葉医学会例会・臓器制御外科学 (第一外科) 教室談話会
第1056回千葉医学会例会・第20回神経内科教室例会

雑報
ゲッティンゲン便り(]):「編集後記」について(和文・PDF)
 高野光司
編集後記(和文・PDF)

 
   
  緑内障手術前後のパターン VECP による評価
塚本和秀 藤本尚也 安達惠美子
千葉大学大学院医学研究院視覚病態学


 パターン視覚誘発電位 (PVECP) は視神経炎を始めとする視神経疾患への適応が広く知られており, 網膜から視中枢までを反映する電気生理的検査である。 視力良好眼であっても特に中心10°以内の影響を受け, その障害は P100成分の頂点潜時延長をきたす。 緑内障においては視力良好で10°以内に暗点がなければ, その PVECP は正常範囲内となることが多い。 中心の固視点が障害されると P100頂点潜時延長をきたす。 以上より緑内障においても PVECP は中心部視機能 (視力, 視野) を他覚的に反映することがわかっている。 緑内障においては眼圧下降させることが, 視野障害進行を抑制する唯一の手段であり, 薬物でコントロール不良な場合, 手術を考慮せざる得ない。 しかし緑内障手術は眼圧を下降させるが, 術後中心視野への影響も懸念される。 今回我々は緑内障手術前後で PVECP を記録し, 自覚的検査には自動視野計ハンフリー視野の閾値検査の中心10°以内を検討した。  術式は線維柱帯切除術14眼, 線維柱帯切開術 1 眼, 前者ではマイトマイシン C を全例使用している。 比較はウィルコクソン符号付順位検定で行った。  結果は眼圧下降を除いて, PVECP・視野共に統計的有意差は認められなかった。  このことは緑内障手術後に自覚的な視野, 他覚的な PVECP とも視機能を維持し, 手術の安全性を支持すると考えられた。  
 
   
  Frequency doubling perimetry による緑内障性視野異常の長期変動
蓑輪勝行 藤本尚也 塙 忠雄 宮内 修 安達惠美子
千葉大学大学院医学研究院視覚病態学


【目的】Frequency doubling technology (FDT) は従来の自動視野計とは異なり, 比較的大きな網膜神経節細胞であるM細胞系の機能を評価している。 本来緑内障スクリーナーとして開発されており短時間での検査が可能である。 緑内障において, この視野計がスクリーニング以上に臨床的な経過観察に有用であるか, 視野の長期変動 (long-term fluctuation=LF) について従来の視野計と比較検討した。 【方法】開放隅角緑内障患者35例35眼に対し, HFA (Humphrey field analyzer) 30-2とFDT threshold c-20を 4 ヶ月ごとに 1 年間に 3 回測定し, 視野全体の感度低下を示す視野指数 MD (mean deviation), 局所的異常を示す視野指数 PSD (pattern standard deviation), CPSD (corrected pattern standard deviation) について 3 回の測定結果より長期変動を求め, その結果を比較した。 【結果】 1 年間を通して眼圧には有意な変化を認めなかった。 FDT における MD の長期変動は0.94dB で HFA の MD の長期変動1.06dB と有意差は無かった。 FDT の各測定点の長期変動は中心では1.8dB であるのに対し, 周辺では2dB から3dB と大きかった。 HFA の MD と CPSD は 1 年間で有意な変化は認めなかった。 FDT の MD と PSD は 3 回目の測定で有意に悪化した。 各測定時期の視野指数 MD と PSD は FDT と HFA で有意の相関を認めた。 【結論】FDT の視野指数 MD と PSD は HFA の視野指数 MD と PSD と同様の変動を示し, 各時期において有意の相関を示すことがわかった。 このことより緑内障性視野異常の経過観察に FDT を用いることが可能であることがわかった。
 
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