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千葉医学雑誌一覧 |
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千葉医学 81
(6) :283-347, 2005
■総説
漢方の考え方(証)とは病ではなく人を診る体系
寺澤捷年 (和文・PDF)
■短報
小児細菌性髄膜炎由来β-lactamase negative ampicillin resistant Haemophilus influenzaeに対する抗菌薬併用療法の細菌学的検討
会沢治朗 石和田稔彦 太田節雄 河野陽一 (英文・PDF)
■研究紹介
千葉大学医学研究院麻酔学講座における臨床研究紹介
磯野史朗 西野 卓 (和文・PDF)
神経内科学教室
桑原 聡 服部孝道 (和文・PDF)
人類の脅威となりうる非(低)病原性ウイルスのサーベイランス
白澤 浩 (和文・PDF)
分化制御学における免疫記憶に関する研究
坂本明美 有馬雅史 幡野雅彦 藤村理紗 徳久剛史(和文・PDF)
■話題
亥鼻分館所蔵・医事文化資料について(U)
−解剖絵巻・解剖書について−
樋口誠太郎 (和文・PDF)
台湾大学医学部解剖学教室を訪ねて
松野義晴 戸恵美子 森 千里 (和文・PDF)
■らいぶらりい
Application of apoptosis to cancer treatment
吉富秀幸 宮崎 勝 (和文・PDF)
■学会
第1097回千葉医学会例会・整形外科例会 (和文・PDF)
第1103回千葉医学会例会・第4回呼吸器内科例会(第18回呼吸器内科同門会)(和文・PDF)
第1106回千葉医学会例会・第22回千葉精神科集談会 (和文・PDF)
第1108回千葉医学会例会・第38回麻酔科例会・第66回千葉麻酔懇話会 (和文・PDF)
■編集後記 (和文・PDF)
■81巻総目次・索引
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●漢方の考え方(証)とは病ではなく人を診る体系
寺澤捷年 千葉大学大学院医学研究院和漢診療学
「木を見て森を見ず」という諺がある。これは英語のYou cannot see the wood for the trees. に由来する。筆者は漢方医学と西洋医学の双方の融和をライフワークとしている。そして,この二つの医学体系の本質的な相違について,「木=病」の詳細を知ろうとしているのが西洋医学で,「森=病人」の観察に終始してきたのが漢方医学の歴史であったと考えている。医療の最終目標に向かって「木」も「森」も詳細に観察することが必要であることは論をまたない。ここでは「森」を見る医療哲学「証」の持つ意味を考えてみた。態学に基づく組織分類は,今後も肺癌研究・診療の基本座標としての役割を果たしつつ,分子病理学的知見を組織レベルの表現型に結びつけて,あるいは形態解析にフィードバックすることで,その座標中に位置づけて行くことが益々重要になると思われる。
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●小児細菌性髄膜炎由来β-lactamase negative ampicillin resistant Haemophilus influenzaeに対する抗菌薬併用療法の細菌学的検討
会沢治朗 石和田稔彦 太田節雄1) 河野陽一 千葉大学大学院医学研究院小児病態学 1)帝京大学医学部附属市原病院小児科
細菌性髄膜炎は小児科領域における代表的な重症感染症である。その起炎菌としてわが国で最多であるインフルエンザ菌において,近年βラクタム系薬に対する耐性化が進行し,治療に難渋する例も報告されている。このような耐性菌に対しては新たな治療法策定が急務である。今回インフルエンザ菌β-lactamase negative ampicillin resistant (BLNAR) 株を用い,BLNARに対し感受性良好な薬剤の併用効果について検討を行った。対象は1995年から2003年の間に髄膜炎症例より分離されたBLNAR8株とした。BLNAR株は,β-lactamase陰性かつampicillin (ABPC)あるいはsulbactam (SBT)/ABPCの最小発育阻止濃度が1.56μg/以上の株とし,インフルエンザ菌遺伝子検出検査試薬(湧永製薬株式会社)を用い,耐性に関与するftsI遺伝子の変異を全株で確認した。これら8株に対し,感受性の比較的良好であったpiperacillin(PIPC),ceftriaxone(CTRX),meropenem(MEPM)それぞれ2剤の併用効果を検討する目的でfractional inhibitory concentration index (FIC index) を算出し,評価を行った。その結果,CTRX+PIPC,CTRX+MEPM, PIPC+MEPM全ての組み合わせで拮抗作用は認めなかった。特にCTRX+MEPM,PIPC+ MEPMで高い相乗効果を認め,BLNAR性髄膜炎に対する選択肢のひとつになる可能性が示唆された。。
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●亥鼻分館所蔵・医事文化資料について(U)−解剖絵巻・解剖書について−
樋口誠太郎 千葉敬愛短期大学
前回,亥鼻分館に収蔵されている医事文化資料の中で主として「医療習俗」に関するものを中心としてとりあげて紹介させていただいたが,当館にはこういうものだけではなくもっと医学に関連した貴重な資料があることを,紹介しておく必要があるかと思った。
それは「医事資料」といって良いもので,江戸時代後期の日本の医学を考える上で見逃すことのできないものである。
当時「解剖」というのは,仏教思想の影響もあって「死体を解剖するなんてとんでもない」という一般の思潮に対し「人体の構造を知らなくては正しい医療はできない」というオランダ医学の影響を受けた医師たちの主張があった。
漢方医の中には反対者が多く「死んでしまったからだを切り剖いて中を見ても何の役にも立たない。それより仏となった死者を冒するものだ」と主張する者もあった。
しかし,世の流れの前に抗することは不可能で,幕府も次第に解剖を認めざるを得なかった。それでも解剖を行うのに医者が執刀するようになるのはずっと後のことで,当初は屠者が行い医者は傍観していろいろ注文をつけたり命令をするだけだった。
また,日本固有の解剖書と言われる山脇東洋の『臧志』や杉田玄白の『解体新書』もあるがそれは,本文中でふれることにする。
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