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千葉医学雑誌


千葉医学雑誌一覧
  千葉医学 82 (1) :1-74, 2006 
総説
Sox2遺伝子と幹細胞の自己複製機構
 宮城 聡 奥田晶彦 岩間厚志 (和文・PDF
Th2型免疫応答におけるIL-25の役割
 中島裕史 (和文・PDF
講座
東金の老湖先生
 石出猛史 (和文・PDF)
 原著
緑内障におけるfrequency doubling perimetry への緑内障,白内障手術の影響
 張 大威 藤本尚也 山本修一 (英文・PDF
症例
眼窩偽腫瘍治療経過中のMRI変化
 塙 勝博 安達惠美子 永田 博 溝田 淳 (英文・PDF
研究紹介
環境生命医学教室における研究
 松野義晴 戸恵美子 小宮山政敏 深田秀樹 門田朋子 森 千里 (和文・PDF
感染生体防御学
 青才文江 野呂瀬一美 文 恵聖 矢野明彦(和文・PDF
発生生物学
 川内大輔 室山(川村)優子 斎藤哲一郎 (和文・PDF
免疫発生学教室
 山下政克 本橋新一郎 中山俊憲 (和文・PDF
整形外科領域における再生医療
 守屋秀繁 山崎正志 国府田正雄 中川晃一 (和文・PDF
耳鼻咽喉科・頭頸部腫瘍学教室
 岡本美孝 (和文・PDF
放射線医学
 川田哲也 斉藤正好 宇野 隆 磯部公一 伊東久夫 (和文・PDF
学会
第1092回千葉医学会例会・細胞治療学講座例会・第二内科同門会総会 (和文・PDF

編集後記 (和文・PDF

 
   
  東金の老湖先生
石出猛史 千葉大学大学院医学研究院循環病態医科学


   東金の老湖先生事吉井宗元は,幕末から明治にかけて現在の東金市田間に在住した。医師であり,漢学者・教育者である。青年期常陸に遊学し,潮来では宮本茶村の下で漢学を学ぶと共に水戸学の洗礼を受け,後に水戸に移り,漢蘭折衷派医学の巨頭本間棗軒に医術を学んだ。郷里武射郡椎崎村に帰郷後,山辺郡田間村に移り,医術を開業すると共に漢学塾の運営も行った。文久3年九十九里を中心におこった真忠組騒動に際しては,討伐にあたった福島藩の従軍々医として参加した。その後も福島藩の准藩医として,福島藩預りとなった水戸天狗党の残党の診療と漢学の教育に従事した。幕末には,自営の漢学塾への入門者も多数にのぼった。明治に入って福島藩の消滅と共に,町医兼塾主にもどったが,明治6年の学制施行と共に,田間東小学校々長に就任した。この頃から医術を廃業し,教育に専念するようになった。13年間校長を勤めた後職を辞し,以後は長男量平と共に,漢学教育を中心とした吉井学校(南総斯文学会)の運営にあたった。吉井学校の出身者には,山武杉の育成普及に努め,短歌アララギ派の歌人として知られる蕨眞一郎・直治郎兄弟がいる。門下生により田間の上行寺に頌徳碑が建立されて間もなく,明治42年9月20日没した。行年76歳。

 
   
  緑内障におけるfrequency doubling perimetry への緑内障,白内障手術の影響
張 大威 藤本尚也 山本修一 千葉大学大学院医学研究院視覚病態学


  Frequency doubling technology(FDT)は緑内障スクリーナーとして開発され,緑内障の視野異常を短時間高感度に検出しうる新しい視野計である。今回は白内障手術また緑内障手術の前後でFDTを測定し,それらの手術の影響を検討した。対象は千葉大学病院で通院する緑内障患者62名,そのうちには緑内障手術群31名と白内障手術群30名であり,その反対眼で同時に手術しなかった対照群でわけた。緑内障患者のFDTにおいて白内障手術または緑内障手術後に視野全体が均一に障害されることの指標であるmean deviation(MD)が改善した。緑内障手術前後の眼圧下降とMDの改善は有意な相関がみられ,眼圧下降によって視野全体が改善することがわかった。しかし,白内障手術前後では眼圧下降とMDは有意な相関がみられなかった。白内障術後の視野改善は視野全体の変化が白内障という混濁の影響を受け,術後混濁の減少によりに網膜へ到達する輝度が増加するとためと考えられた。緑内障術後の視野改善は眼圧下降によるものだと考えられた。
 
   
  眼窩偽腫瘍治療経過中のMRI変化
塙 勝博1) 安達惠美子1) 永田 博2) 溝田 淳3)  
1) (翠)山王病院感覚器病センター眼科,2) 耳鼻咽喉科 3) 順天堂大学医学部附属順天堂浦安病院眼科


 61歳女性,突然の頭痛,その後1週間ほどの右眼の深部眼窩痛,39℃の熱発があり,当科受診。眼痛の後,右眼眼球突出,眼瞼腫脹が生じた。眼球突出は21oであった。T2-MRIでは右眼窩内に高濃度の微慢性の陰影が認められた。眼筋,視神経は正常陰影であった。眼窩偽腫瘍の診断のもと,プレドニゾロン内服治療を開始した。臨床症状軽快とともにMR画像も徐々に回復していったが,MR画像の回復所見は臨床所見の回復より遅れていることが認められた。  

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