千葉医学会 The Chiba Medical Society
千葉大学 千葉大学大学院医学研究院・医学部→
千葉大学医学部附属病院→
千葉医学会 The Chiba Medical Society HOME 千葉医学会の紹介 お知らせ Chiba Medical Journal 千葉医学雑誌 医学雑誌関連情報


千葉医学雑誌

千葉医学雑誌一覧
 
千葉医学 85 (2) :53-105, 2009

第86回千葉医学会総会案内
学術大会 特別講演
教えられたこと,伝えたいこと
 多田富雄(和文・PDF)
総説
環軸椎回旋位固定の病態と治療
 古矢丈雄 山崎正志 大河昭彦 国府田正雄 高橋和久(和文・PDF)
原著
腰椎神経根ブロック施行時にステロイド剤は必要か
 萩原義信 雄賀多聡 平山博久 小山忠昭 渡辺英詩(英文・PDF/HTML)
原著
内視鏡的乳頭切開術が困難であった総胆管結石症に対して総胆管十二指腸端側吻合術を行った10例の検討
 宇田川郁夫 セレスタRD 渡邊茂樹 新村兼康 篠嵜秀博 菊地紀夫(和文・PDF
話題
千葉医学会賞と千葉医学会奨励賞の創設
 徳久剛史(和文・PDF)
新型インフルエンザの現状と対策
 佐藤武幸(和文・PDF)
海外だより
イギリスの認知行動療法セラピストを7年で10,000人養成する計画
 小堀 修 清水栄司 伊豫雅臣(和文・PDF
学会
第1171回千葉医学会例会・臓器制御外科学教室談話会(和文・PDF
編集後記 (和文・PDF


 
   
  環軸椎回旋位固定の病態と治療
古矢丈雄 山崎正志 大河昭彦 国府田正雄 高橋和久
千葉大学大学院医学研究院整形外科学


 整形外科診療にて時折遭遇する環軸椎回旋位固定について治療法を中心に文献的考察を行った。斜頚位は牽引や装具などの保存療法により比較的容易に整復されることが多いが,症例によっては再発を繰り返したり,整復不能なものがあり,これらに対しては厳重な保存療法や手術療法を要した。
 保存療法が行われた476例中,87例(18.3%)で斜頚位の再発を認めていた。また,保存療法に抵抗性で最終的に手術療法が施行されたものが20例(4.2%)あった。環軸関節面の変形が時間経過に伴い進行し,これが易再発性の原因となることが示唆された。発症後1ヶ月未満に治療を開始した急性例では保存療法によく反応し,手術療法を必要とした症例がほとんどなかったのに対し,治療開始が遷延した亜急性例・慢性例では手術療法を要した症例が多くみられた。
 手術療法としては大多数の例で整復位での後方固定術が施行されていた。しかし骨性癒合などにより整復が困難な例に対しては前方からの解離,整復術が必要となるため,前方法または前後合併手術が選択されていた。
 
 
   
  腰椎神経根ブロック施行時にステロイド剤は必要か
萩原義信1) 雄賀多聡2) 平山博久3),小山忠昭4) 渡辺英詩3)
1) 城東社会保険病院整形外科 2) 千葉労災病院整形外科 3) 渡辺病院整形外科 4) 沼津市立病院整形外科


 【目的】今回腰椎神経根ブロック(SNRB)施行時にステロイド剤を併用した群としなかった群をつくり,その有効性をvisual analog scale (VAS) とpresent pain intensity (PPI) を用いて検討したので報告する。
 【方法】当院を腰痛・下肢痛で受診した患者のうち,MRIで下肢神経根症状を来たす病変を確認した69例を,以下のごとく2群に無作為分類しSNRBを施行。S(+)群: 施行時に局所麻酔剤(リドカイン)2mlにステロイド剤(ベタメタゾン)1mlを併用した群。S(−)群: 施行時に局所麻酔剤(リドカイン)3mlのみ使用した群。そして施行前,施行後1時間,施行後1週間のVASを検討した。
 【結果】1)S(+)群は34例,S(−)群は35例。2)S(+)群の施行前・施行後1時間・施行後1週間のVASは,S(−)群のそれぞれの値との間に,統計学的有意差は存在しなかった。
 【考察】痛み刺激は大脳痛覚域に伝わるほか,運動神経と交感神経を興奮させ,組織酸素欠乏,細胞膜透過性亢進,細胞破壊,発痛物質放出も生じ,痛みが拡大増強する。これが痛みの悪性循環である。局所麻酔剤は,疼痛を消失させ,筋攣縮を軽減させ,局所血流量を増大させる。またステロイド剤は,発痛物質産制・分泌を抑制する。一般的には,SNRB施行時に局所麻酔剤とステロイド剤が併用され,これらの共同作用による悪性循環遮断が期待されている。しかし今回の検討では,ステロイド剤の併用による,ブロック効果の増強・延長は確認出来なかった。したがって,SNRB施行時におけるステロイド剤の作用はまだ不明であると思われた。
 
 
   
  内視鏡的乳頭切開術が困難であった総胆管結石症に対して総胆管十二指腸端側吻合術を行った10例の検討
宇田川郁夫 セレスタRD 渡邊茂樹 新村兼康 篠嵜秀博 菊地紀夫
国保匝瑳市民病院外科


 内視鏡的乳頭切開術による治療が困難であった症例に対して総胆管十二指腸端側吻合術を行った10例を臨床的に検討した。男性2例,女性8例で平均年齢は71.3歳,80歳以上は5例であった。内視鏡的乳頭切開術が困難であった理由は胃切除後,傍乳頭憩室,大結石などであった。手術は胆嚢摘出,胆管切開結石除去,胆道鏡による観察,胆管十二指腸端側吻合術の順に行い手術時間は平均122分,出血量は平均204gであった。術後合併症は術創部皮下膿瘍の1例のみであった。術後経過観察期間は1年4ヶ月〜8年4ヶ月,平均4年5ヶ月でこの間,胆管結石の再発,胆管炎,膵炎を起こした症例は認められなかった。総胆管結石症に対する総胆管十二指腸端側吻合術は胃全摘後(Roux-en-Y再建),BillrothU再建胃にも施行でき,手技的にも比較的容易で侵襲も少なく安全な術式であると考えられた。
 
   
  お問い合わせ e-mail : info@c-med.org  

Copyright (C) 2002 The Chiba Medical Society. All Rights Reserved.