千葉医学会 The Chiba Medical Society
千葉大学 千葉大学大学院医学研究院・医学部→
千葉大学医学部附属病院→
千葉医学会 The Chiba Medical Society HOME 千葉医学会の紹介 お知らせ Chiba Medical Journal 千葉医学雑誌 医学雑誌関連情報


千葉医学雑誌

千葉医学雑誌一覧
 
千葉医学 88 (6) :253〜312, 2012

症例
大腸憩室が後腹膜腔に穿孔し広背筋膿瘍を形成した1例
 高橋幸治 青柳智義 当間智子 二村好憲 佐久間洋一 高石 聡 増田 渉 山本義一(和文・PDF
症例
頭蓋内出血を併発した胆道閉鎖症4例の臨床的検討
 松浦 玄 東本恭幸 岩井 潤(和文・PDF
話 題
第40回日本免疫学会学術集会を振り返って
 徳久剛史(和文・PDF
第四回千葉医学会賞
基礎医学部門
T細胞の抗原認識と免疫応答を司る活性化シグナルユニットの研究
−免疫シナプスからマイクロクラスターへ−

 横須賀 忠(和文・PDF)
臨床研究部門食道癌における重粒子線の臨床応用 
−さらなる集学的治療の飛躍を目指して−

 阿久津泰典(和文・PDF)
海外だより
Yale大学留学記
 安部 玲(和文・PDF
モントリオール留学記
 宮城正行(和文・PDF
学会
第1229回千葉医学会例会・整形外科例会(和文・PDF
第1243回千葉医学会例会・平成23年度第11回千葉大学大学院医学研究院呼吸器病態外科学教室例会(和文・PDF
OAP要旨
ICU入室患者における足浴が睡眠に及ぼす影響(和文・PDF
難波志穂子 下山一郎 木口 隆 氏家良人
編集後記(和文・PDF
第五回(2012年度)千葉医学会賞および奨励賞候補者の公募について
第6回 ちばBasic & Clinical Research Conference開催のお知らせ
88巻総目次・索引

 
   
  大腸憩室が後腹膜腔に穿孔し広背筋膿瘍を形成した1例
 高橋幸治 青柳智義 当間智子 二村好憲 佐久間洋一 高石 聡 増田 渉1) 山本義一
 医療法人社団誠馨会千葉メディカルセンター外科
1) 千葉大学大学院医学研究院腫瘍病理学


 症例は68歳男性。約2か月間の右背部痛と発熱を主訴に当院受診。右背部に2p大の発赤を伴う硬結があり,同部に圧痛を認めた。CT検査にて,上行結腸背側の後腹膜に気腫像と膿瘍の存在を示唆する低吸収域がみられ,その一部は広背筋内部まで到達していた。以上より,後腹膜膿瘍と診断し,入院後直ちに経皮的ドレナージを施行し,抗生物質投与を開始した。下部消化管内視鏡検査で,上行結腸に膿成分を伴った穿孔を疑う憩室を認めたため,内視鏡的にクリップで閉鎖した。ドレーンからの造影検査を行ったところ,膿瘍腔と上行結腸を介する瘻孔が描出されたため,保存的治療の限界と判断し,右半結腸切除術を施行した。本邦文献報告によると,大腸憩室後腹膜穿孔症例の平均病悩期間は短く,筋肉内に膿瘍を形成したものは数例にすぎなかった。自験例は,病悩期間が長期にわたり,後腹膜腔から広背筋にかけて膿瘍を形成しており,稀な症例と考えられた。
 
   
  頭蓋内出血を併発した胆道閉鎖症4例の臨床的検討
 松浦 玄 東本恭幸 岩井 潤
千葉県こども病院小児外科

 
 【目的】胆道閉鎖症(BA)でビタミンK欠乏に起因する頭蓋内出血(ICH)を起こすと原疾患に対する手術(Kasai手術)が遅れ予後に影響する。当院で経験したICH併発BA症例について臨床的に検討した。
 【症例】1988〜2011年の23年間に当院で経験したBA症例41例のうち4例でICHを発症した。ICHの発症時期は日齢49〜64日(中央値63)であった。ICHに対する脳神経外科処置は2例で施行され,残りの2例では保存的治療が選択された。Kasai手術は日齢76〜90(中央値87)の間に施行されており,ICH発症から手術までの期間は14〜35日(中央値26日)であった。1例が肝不全により死亡し,2例は肝移植後生存,自己肝生存の1例は2歳9か月現在,肝硬変の状態である。
 【考察】当院におけるBAの初診時日齢は全国平均に比べて高い傾向にあり,ICH症例の頻度も高かった。BAの早期発見は,ICHの予防やBAの予後改善のために極めて重要であり,マス・スクリーニングを視野に入れた社会的な診断システムの構築が急務である。

 
   
  〔第四回千葉医学会賞:基礎医学部門〕T細胞の抗原認識と免疫応答を司る活性化シグナルユニットの研究
−免疫シナプスからマイクロクラスターへ−
 横須賀 忠
(独)理化学研究所 免疫・アレルギー科学総合研究センター 免疫シグナル研究グループ
(独)科学技術振興機構 さきがけ


 細胞の抗原認識と活性化は,T細胞と抗原提示細胞との接着面にできる「免疫シナプス」から始まる。さらに近年のイメージング研究の進歩により,TCRを核とし下流のキナーゼやアダプター分子が凝集した活性化ドメイン「TCRマイクロクラスター」という新しい概念も生まれ,TCRマイクロクラスターはT細胞活性化の基本最小ユニットと考えられている。さらに,CD28などのT細胞補助刺激受容体も,独自の活性化ドメインを形成し,TCRマイクロクラスターと協調的に,あるいは相反的に働き,T細胞の活性化を調節している。マイクロクラスターの時間的空間的な形成とT細胞活性化の制御メカニズムに関して概説したい。
 
   
  〔第四回千葉医学会賞:基礎医学部門〕
食道癌における重粒子線の臨床応用 
−さらなる集学的治療の飛躍を目指して−
 阿久津泰典
千葉大学大学院医学研究院先端応用外科学

 
 手術可能食道癌を対象に,「胸部食道扁平上皮癌に対する炭素イオン線による術前短期照射の第T/U相臨床試験(プロトコール0301)」を実施した。主腫瘍の病理学的検討では強力な治療効果が観察され,同時に毒性も軽微であった。重粒子線は食道癌治療において有望な治療法となることが示唆された。

 
   
  お問い合わせ e-mail : info@c-med.org  

Copyright (C) 2002 The Chiba Medical Society. All Rights Reserved.