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千葉医学 86
(4) :129-165, 2010
■原著
日本人における握力とピンチ力の利き手・非利き手差の検討
鈴木崇根 國吉一樹 (英文・PDF/HTML)
■症例
胃癌と男子乳癌の同時性重複癌の1例 青柳智義 高石 聡 佐久間洋一 舟波 裕 二村好憲 当間智子 飛田浩司 松村洋輔 山本義一 松原久裕(和文・PDF)
Ball valve syndromeを呈した体中部の無茎性胃癌の1例
中田泰幸 セレスターRD 渡邊茂樹 大嶋博一 菊地紀夫 (和文・PDF)
■研究紹介
循環器画像診断部門
船橋伸禎 小室一成(和文・PDF)
■海外だより
Stanford University留学記
高岡浩之(和文・PDF)
■学会
第1195回千葉医学会例会・整形外科例会 (和文・PDF)
■編集後記 (和文・PDF)
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●日本人における握力とピンチ力の利き手・非利き手差の検討
鈴木崇根1), 國吉一樹2)
1)千葉大学大学院医学研究院環境生命医学
2) 千葉大学大学院医学研究院環境生命医学
我々は手の機能評価に重要な握力とピンチ力の利き手・非利き手間の関係について日本人を対象に調査・検討した。調査対象は上肢の外傷・疾患の既往のない健常者で総数は122名である。内訳は男性53名,女性69名で平均年齢28歳(20〜46歳)である。測定肢位は立位・肩関節下垂・肘屈曲90度,前腕中間位,手関節軽度背屈位とした。握力はJAMAR握力計を使用し,2ndポジションと3rdポジションで1分以上の間隔をあけてそれぞれ3回ずつ測定しその最大値を「握力」とした。ピンチ力の測定はサイドピンチで行い,ピンチメーターを使用して同様に3回測定しその最大値を「ピンチ力」とした。それぞれに対して利き手と非利き手間で優位な差があるか,相関関係があるかを検討した。さらに,同一肢において握力とピンチ力の相関関係も検討した。握力もピンチ力も優位に利き手が高かった。男性の利き手握力は非利き手と比較して10%強く,女性は12%強かった。男性の利き手ピンチ力は非利き手と比較して7%強く,女性は6%強かった。また,同側の握力とピンチ力にも弱い相関関係を認めた。この結果から,手の機能評価は単純な健側との比較よりも,健側から予想される患側の握力・ピンチ力の正常値との比較を行うことが重要と考えられた。
(無断転載を禁ず:千葉医学会)
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●胃癌と男子乳癌の同時性重複癌の1例
青柳智義, 高石 聡, 佐久間洋一, 舟波 裕, 二村好憲, 当間智子, 飛田浩司, 松村洋輔, 山本義一, 松原久裕1)
JFE健康保険組合川鉄千葉病院外科
1) 千葉大学医学研究院先端応用外科
症例は84歳男性。平成20年11月頃より全身倦怠感あり。また同年12月より左乳房腫瘤も自覚したため,12月当院受診。小球性低色素性貧血と乳房腫瘤を認め,精査施行したところCTおよび超音波検査で左乳房に嚢胞と充実性の直径約7pの腫瘍を認め,また上部消化管内視鏡で胃体上部から下部にかけて小弯全域に10pを超える易出血性の3型腫瘍を認めた。乳房腫瘤は細胞診,胃腫瘍は組織診を行ったが,それぞれの転移ではなく左男子乳癌・進行胃癌の同時性重複癌の診断となった。病期は乳癌はT3N1Stage3A,胃癌はT3N1Stage3Aであった。貧血症状が存在するため,胃切除の方針としたがご本人・ご家族ともに外科的治療を選択されず経過観察となった。平成21年3月現病死された。男子乳癌と胃癌の同時性重複癌の報告例は非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する。
(無断転載を禁ず:千葉医学会)
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●Ball valve syndromeを呈した体中部の無茎性胃癌の1例
中田泰幸, セレスターRD, 渡邊茂樹, 大嶋博一, 菊地紀夫
匝瑳市民病院外科
今回,我々は大変稀な胃体中部の無茎性胃癌によるBall valve syndromeを経験し,開腹胃部分切除のみを施行したが,良好な臨床経過を得られたことから若干の考察を加え報告する。
症例は,82歳女性。主訴は食欲不振・嘔吐。近医受診し,十二指腸に腫瘍が陥入していたことから当院紹介。精査の結果,胃体中部の胃癌が十二指腸に陥入していた。患者の年齢を考慮し,手術は胃部分切除のみを施行した。最終病理結果は,tub1,pT1 (SM1),pN0,H0,fStageTAであった。術後の経過は良好で,術後12日で退院となった。十二指腸内に胃腫瘍が脱出嵌頓し,腹痛・嘔吐などの症状を来すことを『Ball valve syndrome』と言われるが,私どもの検索しえた限りでは,我々が今回経験したような,胃体中部の無茎性胃癌によるBall valve syndromeの報告例はめずらしいと思われる。
(無断転載を禁ず:千葉医学会)
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